板橋区、ライフリンクと自殺対策に関する協定を締結
令和7年9月8日、東京都板橋区はNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」との間で自殺対策に関する協定を締結しました。この協定は、地域の連携を基盤とした支援体制を構築し、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指しています。
協定の要点
この協定の中心にあるのは、ICT技術を用いた「入口から出口までの包括的な生きる支援」です。具体的には、ライフリンクが運営するSNSを通じて、相談を受けた際に住民の同意をもとに、板橋区に情報を提供します。この情報を基に、板橋区は個々の相談者が抱える悩みを聞き取り、必要な支援を提供する流れを構築します。
協定締結式では、坂本区長が「相談することは恥ずかしいことではなく、それを支えることも容易ではない」と述べ、行政と民間の連携の重要性を強調しました。理事長の清水康之氏ともに「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指す共通の思いを確認しました。
板橋区の取り組み
板橋区はこれまで、自殺対策強化のために地域ネットワークの構築や必要な人材の育成を行ってきました。特に、自殺対策強化月間である9月には、心の健康の啓発活動を積極的に実施しています。しかし、近年の子どもや若者の自殺者数増加や自殺未遂者の再企図などは、地域社会にとって新たな課題となっています。
令和6年度の区民健康意識調査では、「本気で死にたい」と考えた経験がある人の半数以上が「家族に相談したことがない」と回答しており、SNSによる相談が急務とされています。このような背景から、今年の9月に協定が締結され、具体的な支援が始まります。
期待される効果
協定により、以下のような成果が期待されます。
1.
SNS相談の活用: 相談しやすい環境を整備することで、より多くの人が手軽に相談できるようにします。
2.
適切な支援機関への連携: 相談内容に合わせて、関連する支援機関にスムーズに繋げます。
3.
区内各部署の連携: 区は相談者のニーズに応じて、様々な部署と協力し、具体的で実効性のある支援を行います。
ライフリンクについて
ライフリンクは、2004年10月に設立され、「自殺は社会の問題であり、構造的な問題でもある」という考え方に基づき、さまざまな自殺予防支援を行ってきました。「みんなでつながることで防げる自殺がある」との強い信念のもと、地域社会の中でつながりを育み、自殺を防ぐ活動に取り組んでいます。
協定の実施を通じて、「生き心地の良い社会」の実現に一歩近づくことが期待されます。今後の進展に是非ご注目ください。