ワイセキュアが開発した新たな暗号応用処理プロセッサ「WAP」
ワイセキュア株式会社は、量子時代に対応すべく、2024年末に板上量子耐性暗号応用処理プロセッサ「WAP」を発表する運びとなりました。これは、サイバーセキュリティの新しい要件をクリアするために設計された製品で、すでに日本国内の大手企業や機関において実証実験が行われています。加えて、米国国立標準技術研究所(NIST)による「FIPS 140-3 Level 3」の認証申請も進めており、最高水準のセキュリティが求められる分野においても信頼性を保つことが期待されています。
WAPの必要性と背景
最近の技術革新により、量子コンピュータの実用化が現実に近づいています。この中で、既存の暗号だけでは将来的なサイバー攻撃に耐えることが難しくなっています。特に、米国が進めているCNSA 2.0の方針では、2027年までには耐量子計算暗号の導入が求められています。攻撃者が今後の量子コンピュータを利用した攻撃を計画している中、医療、金融、知的財産、政府機関などの重要データが守られる必要性が高まってきています。
WAPは、現在のRSAやECCなどの暗号技術と、今後標準化が進む耐量子計算暗号アルゴリズムに両方に対応しています。これにより、ハイブリッド署名技術を駆使して、現行システムと将来のシステムをスムーズに接続することが可能です。WAPの導入を早期に検討することで、長期にわたるセキュリティ確保と市場競争力の維持が期待されています。
WAPの主な使用例
WAPの導入を検討すべき機器には、以下のような条件があります:
- - 高度なセキュリティを必要とする重要なシステム
- - 製品ライフサイクルが5年を超え、量子コンピュータに対応する必要がある製品
- - HNDL攻撃を防ぐために重要なデータを扱う場合
- - 回路基板設計を簡素化し、コスト削減を目指す場面
特に、ドローンやエッジデバイス、ブロックチェーンのコールドウォレットなど、セキュリティが重要視される製品においては、WAPの導入が適しています。さまざまなミッション・クリティカル・システムの中核を担うことが期待されます。
WAPの特徴
WAPには、以下のような特徴があります:
1.
高速の暗号処理と高いハードウェア安全性:130MB/sのAES暗号化を実現しつつも、低消費電力設計を採用。
2. 国際標準に対応:耐量子計算機暗号のML-KEMやML-DSAをサポートし、RSAやECCとも互換性を有する。
3. カスタマイズ性:様々な利用シーンに応じて最適な設計が可能。
台湾での実装力
ワイセキュアのグループ会社であるWiSECUREは、国際会議においてWAPの設計思想について言及し、既存の公開鍵暗号との互換性が高く、容易に導入できる点が評価されています。このような取り組みが進む中、企業は段階的な導入戦略を立てることが重要です。
結論
今後のサイバーセキュリティに欠かせないのは、量子に対する耐性を有した暗号技術の進化です。WAPの導入を検討することは、将来的なリスクを低減し、安全な運用を保証するための大きな一歩です。ぜひ、ワイセキュアへのお問い合わせをお待ちしております。




