国が情報保障を正式に認定
株式会社プラスヴォイスは、内閣府による新制度「被災者援護協力団体」において、初めて「情報保障」分野として認定されました。この取り組みは、災害対策基本法の改正に伴い設立されたもので、被災者支援の経験を持つ団体を登録し、迅速な支援を提供することを目的としています。
プラスヴォイスの役割
プラスヴォイスは、きこえない・きこえにくい人に対して、遠隔手話通訳や文字通訳を提供し、災害発生時でも必要な情報を確実に取得できる環境を整えています。今回の認定を受け、同社は市町村からの情報を受け取ることができるようになり、災害時において正式に支援活動を展開することが可能となりました。これにより、通信技術を活用した遠隔支援が国の制度の下で行えるようになります。
意義ある一歩
この認定は、国が初めてきこえない人々の「情報保障」を災害支援の一環として認識し、明確に位置付けた重要な事例です。デフリンピックの開催を控え、手話や情報保障への関心が急速に高まる中、これらの取り組みは社会における大きな変化を示唆しています。防災現場からも、きこえない人々の安全を支える取り組みが着実に進行しています。
遠隔通訳の活用
さらに、プラスヴォイスは能登において、二次元コードを利用した通訳サービスを展開しています。このシステムでは、音声を手話や文字で通訳し、双方向のコミュニケーションをリアルタイムで行います。これにより、避難所やさまざまな場面での意思疎通がスムーズになります。
被災地から離れた支援
また、全国に設置された複数の通訳センターを通じて、どの地域で災害が発生しても通訳サービスの提供が可能となります。この取り組みにより、災害時における情報の格差が解消され、きこえない・きこえにくい人々の孤立を防ぐことが期待されています。
背景にある課題
災害時における音声中心の情報提供がきこえない人々にとって大きな障害となり、これまで彼らが情報から取り残される状況が続いてきました。しかし、2025年6月から施行される「手話に関する施策の推進に関する法律」によって、緊急時の手話による情報提供が強化され、国としても情報のバリアフリー化に向けた動きが始まることとなります。
今後の展望
プラスヴォイスは、ICTを利用した遠隔通訳支援の専門的なノウハウを活かし、自治体や防災機関との連携を強化する方針です。災害時において「誰一人取り残さない防災」を実現するため、全国規模での情報保障体制の構築を目指します。代表取締役の三浦宏之氏は、「”きこえ方の違い”に関わらず、誰もが命を守る情報にアクセスできる社会への第一歩を踏み出せることに意義を感じています」と語ります。
最後に
このたびの認定を通じて、情報保障が公的に認められたことは、きこえない・きこえにくい人々にとって大きな希望となります。災害時の情報格差をなくすため、遠隔通訳の導入がさらに浸透し、各種の場面で安心してコミュニケーションが図れる社会の実現へとつながることを期待しています。