名古屋市がクラウドコスト管理の実証実験をスタート
名古屋市は、2025年3月13日から、AWS(アマゾンウェブサービス)を利用したガバメントクラウド環境におけるコスト管理の実証実験を行うことを発表しました。このプロジェクトは、株式会社メタップスホールディングスが提供するコスト管理ツール「srest」を活用し、効率的なクラウド運用を目指します。
実証実験の背景
名古屋市は、2022年に策定した「名古屋市役所DX推進方針」に基づき、業務のデジタル化を進め、ガバメントクラウド移行を強化しています。他の自治体では一般的な「共同利用方式」とは異なり、名古屋市は「単独利用方式」を採用。これにより、迅速な意思決定とガバナンスの強化、コスト効率化を図っています。しかし、各システムで異なるAWSアカウントを使用しているため、全体のコスト把握は困難でした。
この課題解決のため、名古屋市は「srest」を利用し、クラウドリソースの運用状況を可視化することにしました。これにより、最適化された運用計画の策定が可能になり、長期的にはより安定したクラウド環境を構築することが期待されています。
実証実験の具体的内容
本実証実験では、「srest」を使ってAWSのコストを正確に把握し、マルチアカウント環境のコストを可視化します。これにより、各アカウント内でのコスト配分も柔軟に行えるようになります。具体的には、別々の業務が一つのアカウントにまたがっている場合、それぞれの会計に応じた精密なコスト管理が可能になります。
名古屋市総務局の高橋広和課長補佐は、「現在の運用状況では、クラウドコストの詳細な把握が難しく、効率的な資金計画が立てにくいことが課題です。srestの導入によって、計画的かつ効率的な会計管理が可能になることを期待しています」と述べました。
リアルタイムに近い情報が得られることで、月次や週間単位でのモニタリングも可能となり、資金計画や支払準備の期間を確保することができるようになります。さらに、高橋氏は「全体最適化も図りたい」とし、多重投資のリスク軽減にも意欲を示しました。
期待される効果
「srest」は、複数のAWSアカウントのコストデータを詳細に分析できるダッシュボードを持っています。このツールを導入することで、名古屋市はクラウドコストを見える化し、適正なコスト管理が実現できるとともに、各局が独自に運用しているさまざまなシステムの最適化にもつながります。高橋氏は、今回の実証実験を経て、内部システムだけでなく様々な業務システムでの活用も模索しているとのことです。
会社情報
株式会社メタップスホールディングスは、2023年に設立された企業で、バックオフィスや開発領域を中心にDX支援に取り組んでいます。代表取締役社長は山﨑祐一郎氏。設立以来、さまざまなソフトウェアの提供を通じてビジネスのデジタル化を支援しています。これからもAIやテクノロジーを活用し、企業の競争力強化に貢献していくことを目指しています。
参考情報
この新たな試みが、名古屋市のデジタル改革をさらなる高みへと導くことを期待します。