整形外科腫瘍摘出用3Dプリントモデル臨床試験開始、患者の予後改善に期待
ストラタシスとリコーUSAは、整形外科腫瘍学における3Dプリントモデルの使用を評価する画期的な臨床試験を開始しました。この研究は、従来の画像診断のみによる手術と比較して、術前計画や腫瘍切除における3Dプリント人体モデルの有効性を検証します。
この臨床試験は、米国ミネソタ州エデンプレイリーとイスラエル・レホボットに拠点を置くストラタシス社と、ペンシルベニア州エクストンのリコーUSA社が共同で行います。
3Dプリントモデルがもたらす期待
この研究では、3Dプリントモデルを用いることで、手術の精度向上、出血量の減少、手術時間の短縮、合併症リスクの低減といった効果が期待されています。3Dプリントモデルは、患者の解剖学的構造を正確に再現し、医師は手術前に患者の状態を詳細に理解し、手術計画を綿密に立てることができます。また、手術前に3Dプリントモデルを用いてシミュレーションを行うことで、手術中のトラブルを事前に防ぐことが期待されます。
臨床試験の目的と内容
この臨床試験は、3Dプリントモデルを用いるグループと、従来の画像診断のみを用いるグループに分けて、手術成績を比較する前向き無作為化比較試験です。試験期間は12ヶ月間で、3施設で最大150人の患者が参加する予定です。現在、オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターと、ミシガン州を拠点とするコアウェル・ヘルスTMの2施設が参加しています。
関係者のコメント
オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターの耳鼻咽喉科-頭頸部外科准教授であるKyle K. Van Koevering医学博士は、「患者の予後を改善することは私たちの使命であり、術前計画はその始まりです。この研究に参加することで、3Dプリントモデルが手術準備や患者教育をどのように改善するかを検証できることを楽しみにしています」と述べています。
コアウェル・ヘルス・ウィリアム・ボーモント大学病院の整形外科の臨床教授であるAws Hammad医学博士は、「この研究に参加することで、患者ケアを向上させ、新しい技術を実証できる最前線に立つことができます。骨肉腫に伴う課題に対処し、患者固有の3Dモデルを活用することで、患者教育だけでなく、外科医がより正確な外科処置を行うための支援となります。」と述べています。
ストラタシスのメディカル担当副社長であるErez Ben Zvi氏は、「この共同研究は、医療用画像と3Dプリントモデルにおける革新的な技術を融合させたものです。この研究が成功すれば、骨からの腫瘍摘出における患者治療の新たな標準として3Dプリントモデルが確立される可能性があります。」と述べています。
リコーUSAのアディティブ・マニュファクチャリング担当マネージングディレクタであるGary Turner氏は、「ストラタシスとの長年のパートナーシップのもと、この重要な臨床試験に協賛できることを嬉しく思います。この研究を通して、患者個別の3Dモデルの潜在的な効果を実証し、より多くの人々にこの技術を提供できるよう促進していきます。」と述べています。
今後の展望
この臨床試験の結果は、整形外科腫瘍学における3Dプリントモデルの有効性と安全性に関する重要な知見をもたらすと期待されます。今後、この技術が広く普及することで、患者の予後改善に大きく貢献することが期待されています。