獣害対策の革新!次世代GPS首輪の実証実験成功、労力ゼロでデータ取得を実現
日本の地方では、野生動物による農作物被害が深刻化しており、農家の経済的な損失だけでなく、耕作放棄や離農といった社会問題にも繋がっています。この課題解決に、新たな技術革新がもたらされました。
Biologging Solutions株式会社は、国内初となるLTE-M通信を搭載した獣害対策用GPS首輪の実証実験に成功しました。このGPS首輪は、従来のように調査員が受信機を持って装着個体まで近づく必要がなく、通信エリアの99%以上をカバーするLTE-M通信により、オフィスや自宅で待機するだけでデータ取得が可能となります。
さらに、太陽光発電システムを搭載することで、長期間の運用を実現。頻繁なバッテリー交換の手間を省き、費用対効果を最大限に高めると同時に、環境負荷の低減にも貢献します。
このGPS首輪は、単に野生動物の位置情報を取得するだけでなく、接近アラート機能により、獣害発生のリスクを早期に察知することも可能です。農作物の早期収穫や追い払いによる被害防止に役立ち、迅速な対応を可能にします。
取得されたGPSデータは、Biologging Solutions株式会社が開発した「アニマルポータル」と呼ばれる専用サイトで閲覧・分析できます。群れの移動経路の把握、罠の設置場所の選定、防護柵の設置場所の最適化など、効果的な獣害対策に役立ちます。
実証実験で実用性を証明
2023年11月からニホンザルとエゾシカにGPS首輪を装着し、実証実験を実施した結果、安定的なデータ取得が確認されました。森の中という厳しい環境下でも、GPS測位の成功率は95%から98%と、高い精度を誇ります。
太陽電池による給電も順調で、最も長期間装着しているニホンザルの首輪でも8割以上の電池残量を維持しています。
実証実験に参加した自治体や大学からは、GPSデータに基づいて効果的な対策を講じることができた、住民の獣害対策への意識が高まった、といった肯定的なフィードバックが寄せられています。
今後の展望
Biologging Solutions株式会社は、今後、カモシカ、クマ、イノシシ、キョンなど、様々な野生動物を対象に実証実験を拡大していく予定です。また、カワウ用の小型GPSロガーも販売しており、アニマルポータルを鳥獣害対策の総合ポータルサイトとして発展させていく予定です。
この革新的なGPS首輪とアニマルポータルは、獣害対策の効率化、農作物被害の軽減、そして地方創生に大きく貢献することが期待されています。