再生医療の新展開
2019-05-09 17:00:23

高齢患者に新しい希望!再生医療が切り拓く変形性関節症治療の未来

高齢患者に新たな希望をもたらす再生医療



現在、世界中で約3億人が変形性関節症に苦しんでおり、日本でも約3,100万人がこの病に罹患しています。特に高齢者にとっては、発症率が年齢とともに上昇するため、非常に深刻な問題と言えるでしょう。従来の治療法では、進行した関節症に対して人工関節置換術が主流ですが、患者の満足度は改善が求められています。特に若年者の場合、再度の置換手術が必要になるなどの課題があります。

そこで、再生医療の新たなアプローチが注目を集めています。自家培養軟骨移植術(ACI)という方法が存在しますが、こちらは主に若年患者のスポーツ障害に適用されるケースが多く、高齢患者にはまだ十分に対応できていないのが現状です。高齢者が抱える変形性関節症の治療法として実効性のある再生医療はほとんど見いだされていないのです。

新たな研究の取り組み



このような課題に対処するため、社会福祉法人仁生社江戸川病院、日印再生医療センター、蓮見国際研究財団の研究チームが結成され、高齢患者の関節軟骨を用いた新しい再生医療の研究が進められています。具体的には、破棄された関節軟骨から採取した軟骨細胞を利用し、人工環境下で再生可能な軟骨組織に成長させる技術の開発が行われています。この研究成果は、2019年4月にカナダのトロント大学で開催された年次再生医療シンポジウムで発表され、注目を集めました。

ポリマー技術の可能性



この研究の鍵となるのは「ポリマー技術」です。すなわち、患者の細胞形態を維持しつつ、インビトロ(人工環境)での成長を助ける技術です。これまでのACI療法では、インビトロ培養や移植後に細胞形態が崩れ、質の低い線維軟骨に戻ってしまうケースが多くありました。しかし、新たなポリマー技術を用いることで、若年患者の軟骨細胞がインビトロ環境でも健康な形を保ちつつ成長できることが確認され、さらに動物実験では移植後も硝子軟骨が長期にわたって維持されることが実証されています。

この技術が成功すれば、高齢患者の関節症治療において、自己の関節軟骨を再生することが可能になります。変形性関節症に苦しむ高齢患者にとって、まさに光明となる治療法といえるでしょう。

未来の展望と市場のニーズ



今後、研究チームは軟骨同種異系プロダクトや無細胞再生プロダクトといった新たな製品の開発を視野に入れています。また、ポリマーと軟骨組織の複合製品も開発予定で、これらは70億ドル規模の市場での需要が見込まれています。再生医療は今後、需要が高まる分野であり、高齢者の生活の質を向上させるための大きな可能性を秘めています。

会社情報

会社名
社会福祉法人仁生社 江戸川病院
住所
東京都江戸川区東小岩2-24-18
電話番号

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