AIで人生を振り返るー新しいライフレビュー支援アプリの誕生
近年、高齢化社会の進行と共に、終末期医療における「ライフレビュー」の重要性がますます注目されています。その中で、株式会社モリカトロン(本社:東京都新宿区)は、大阪大学の仁木一順助教との協力のもと、AIを活用したライフレビュー支援アプリを開発しました。このアプリは、医療現場の緩和ケアにおいて、患者の心のケアや医療従事者とのコミュニケーションの促進に寄与することを目的としています。
AIアプリの特徴と利用シーン
このアプリは、ユーザーが自身の思い出やエピソードをAIに語ることで、物語として再構成し、関連するイメージイラストを自動生成します。医療従事者は、視覚的に分かりやすい形で患者の思い出を共有できるため、患者の背景や想いをより深く理解することができます。また、患者自身も家族や大切な人たちと一緒にその思い出を振り返ることができ、心温まる昔話を楽しむことが期待されます。
このように、アプリは医療従事者と患者双方にとって有益なツールとなっています。
精度向上のための設計・開発
モリカトロンは、対話型AIと画像生成技術を組み合わせて、短時間でも患者の人生をしっかりと引き出せるような設計を施しました。アプリは、物語構築の精度やイラスト生成の適合性を高めるために、AIエンジニアによるチューニングが行われています。
ユーザビリティとの評価
アプリの実用化に向けて、がん看護専門看護師や臨床心理士、作業療法士の3名にユーザビリティを評価してもらいました。その結果、システムユーザビリティスケール(SUS)の平均スコアは75.8点となり、医療従事者にとって受容可能な水準を超えました。この評価は、アプリが実際の医療現場でも使いやすいことを示しています。
今後の展望
今後、緩和ケア病棟での実際の患者を対象にした有効性検証を通じて、医療・介護現場への実装を目指します。また、「回想法」に基づき、認知症予防への応用も視野に入れています。これにより、このアプリは更に多くの人々の心のケアに寄与できる可能性を秘めています。
仁木助教のコメント
仁木一順助教は、終末期医療におけるライフレビューの重要性に触れ、バーチャルリアリティを用いて患者の思い出を振り返るプロジェクトを行ってきた経験を基に、このAIアプリの価値を強調しました。患者の思い出を形に残せるツールであることが、家族との思い出の共有を促進することへの期待を寄せています。
モリカトロンのビジョン
モリカトロンの代表取締役、森川幸人も高齢化社会を念頭に、AIがシニア向けツールとしての可能性を持っていると述べました。AIの導入によって、多くのシニアや医療現場に新たな価値を提供しようとしています。
お問い合わせ
本アプリに関心がある企業や団体への協力を求め、実装やビジネス展開の機会を提供しています。詳しくは、
モリカトロンの公式サイトを訪れてください。
モリカトロン株式会社の概要
モリカトロン株式会社は2017年に設立された日本初の“エンタメAI”カンパニーであり、AIを通じて日常に「遊び心」を提供することをミッションとしています。業界全体の活性化に寄与するため、さまざまな取り組みを推進しています。