次世代GaNパワーデバイス開発に向けたオンセミとGlobalFoundriesの提携

オンセミとGlobalFoundriesが手を組む

近年の技術革新により、パワーデバイスの需要は高まる一方です。その中で、オンセミ（onsemi）とGlobalFoundries（GF）との協業が注目を集めています。両社は、次世代窒化ガリウム（GaN）パワーデバイスの開発および製造を進めることを発表し、650V製品からスタートすることとなりました。

協業の背景と目的

オンセミは、エネルギー効率の良いシステムを提供するために、GlobalFoundriesの最先端の200mm eMode GaN-on-siliconプロセスを活用します。この技術を使用することで、AIデータセンター、自動車、航空宇宙、防衛といった急成長を続ける分野に最適なパワーデバイスを迅速に提供することが可能になります。

この協業により、オンセミとGFの優れた製品や技術が融合し、高効率なソリューションを提供します。オンセミのバイスプレジデントであるディネッシュ・ラマナーダンは、「この提携は、最新のGaN技術を取り入れた新しい650Vパワーデバイスを市場に提供するためのものです」と述べています。

GaNデバイスの特長と利点

GaNデバイスは、小型化された高効率の電力システムを提供し、特に電力需要が増加している市場において効果を発揮します。特に、次のような利点があります：

- 高周波特性：GaNは高いスイッチング周波数で動作し、効率を改善しつつ、部品点数やシステムサイズを削減できます。
- 双方向機能：新しいトポロジーの導入により、コスト削減だけでなく設計のシンプルさが実現されます。
- 統合設計：GaN FETとドライバー、コントローラを一つのパッケージに統合することで、設計期間を短縮し、電磁干渉を減少させます。

対象市場の拡大

パワーデバイスの市場は常に進化しており、特に電源、DC-DCコンバータ、太陽光マイクロインバータ、エネルギー貯蔵システム、モータードライブなど、さまざまな用途が存在します。これにより、両社の協業によって生み出されるGaNデバイスは、必要とされる高電力と高効率を同時に提供することが期待されます。

新たな650Vパワーデバイスは、AIデータセンター用の電源から電気自動車向けの充電器、さらにはエネルギー貯蔵システムに至るまでの様々な用途に応えるものです。こうした新しい技術の投入により、オンセミのポートフォリオは本質的に進化することになります。

提供スケジュールと今後の展望

オンセミは2026年前半にサンプル提供を開始する計画で、迅速に商用化を進めるつもりです。GlobalFoundriesの最高事業責任者マイク・ホーガン氏は、この協業が強靭なサプライチェーンを構築し、市場ニーズに適応できる重要な要素であると強調しています。

この協業は、技術革新による持続可能な未来の実現に向けた着実なステップであり、電力需要の増加に対応したソリューションを提供することで、業界全体に新たな活力をもたらすことでしょう。