化石から古代タンパク質
2025-07-22 18:41:04

岡山理科大学が発表した古代タンパク質可視化技術の革新

激変する古生物研究—化石からのタンパク質解析の新技術



岡山理科大学の研究チームが、数万年前に存在したゾウ類の化石を用いて、化石内のタンパク質を可視化する新しい手法を開発しました。これにより、従来の手法では不可能だった高精度な種の特定が可能となります。この重要な技術は、世界で初めての試みであり、絶滅動物の解明に向けてさらなる可能性を示しています。

研究の背景



タンパク質は、DNAに比べて化学的に安定であるため、数百万年にわたり残存することが期待されています。これを利用することで、古い化石からでも系統関係や生態が解明できるとして、新しい研究分野「パレオプロテオミクス」が注目されています。しかし、従来のタンパク質分析方法は、化石試料の一部を粉末にすることが一般的であり、現生生物由来のタンパク質の混入が問題でした。

新手法の構築



岡山理科大学の辻極秀次教授と千葉謙太郎講師、兵庫県丹波市の教育普及専門員である稲葉勇人さんのチームは、化石をそのまま分析する方法を模索しました。特に「研磨標本」という薄くスライスした化石に、特異的な染色法である「Van Gieson染色」を適用しました。この染色法により、化石内のコラーゲンが鮮やかな赤色に染まり、タンパク質の存在を直接観察できるようになったのです。

論文の公表



この成果は、国際的な学術誌「Journal of Proteome Research」に掲載され、学術界から注目を集めています。研究の主なポイントは以下の通りです。

1. 化石の組織を損なわない手法の確立: 数種類の特殊染色法を試行した結果、Van Gieson染色が最も効果的であることが明らかになりました。

2. コラーゲンの保存状態の確認: 質量分析によるアミノ酸配列の解析が行われ、数万年前のゾウ類に由来することが確認されました。

3. 異なる保存状態の解明: 骨と象牙では、保存状態に大きな違いがあることが示され、研究段階での重要な知見となりました。

将来の展望



研究チームは今後、恐竜化石のタンパク質解析へと進む計画をしており、辻極教授は「恐竜を生物として解析し、その生理機能に迫りたい」と意気込みを語っています。タンパク質の抽出が成功すれば、古生物に関する貴重な情報を得る可能性が広がり、これまで知られていなかった生態や進化の瞬間が明らかになることでしょう。

まとめ



今回の研究は、ただの学術的成果に留まらず、古生物学の未来を大きく変える可能性を秘めています。岡山理科大学の新技術が、今後の研究に新たな扉を開くことが期待されます。私たちが未だ知らない古代の世界が、鮮やかな色合いで目の前に広がる日が来るかもしれません。


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