内部通報制度と課題
2024-10-04 20:01:19

内部通報制度の現状と企業が直面する課題:調査結果から見える真実

内部通報制度の現状と企業が直面する課題



内部通報制度には、企業や組織が透明性を保ち、不正やハラスメントを未然に防ぐ役割があります。しかし、近年、株式会社エス・ピー・ネットワークが実施した調査結果から、企業はこの制度に関して多くの課題に直面していることが明らかになりました。この調査は、365社の担当者を対象に行われ、特に通報件数やその対応に関する実情が浮き彫りになっています。

年間通報件数の実態


調査によると、年間の通報件数は従業員100人あたり約0.5件で、過去の調査と比べて通報が減少していることがわかりました。この減少は、小規模企業からの回答が多かった影響と考えられ、全体の通報件数を押し下げている要因となっています。内部通報の重要性が高まっている中で、この件数の減少は疑問を呼びます。

不利益行為についての懸念


調査では、13.1%の企業が通報者に対する不利益行為があったと報告しています。これは法的に厳しい取り扱いを受ける必要があるもので、企業は労働者が安心して通報できる環境を整える必要があります。通報者を保護する体制が整っていなければ、企業の自浄作用が損なわれるリスクがあります。

ハラスメントの認定の難しさ


興味深いことに、パワハラの疑いに関する通報のうち、実際にハラスメントと認定される割合が低いことが判明しました。約半数の企業が、パワハラの通報は10%以下と答えています。これは、通報者が「パワハラ」として認識する事例の中には、実際にはそうでないものが多く含まれていることを示唆しています。

窓口担当者の負担


内部通報窓口が不平や不満のはけ口として利用される実態も、担当者のストレスを増加させています。多くの企業が、具体的な不正情報ではなく、部門で解決すべき私的な不満を通報として受け取ることに疲弊している現状を抱えています。これは、内部通報制度の本来の趣旨を歪める行為です。

苦慮する通報者への対応


39.6%の企業が、不満を抱く通報者に対して、繰り返しの通報やSNSでの発信などに悩まされた経験があると答えています。調査の結果が通報者の期待に応えない場合、彼らは納得せずに再度通報を行うことがあるため、企業側にとっても厄介な問題です。

担当者の人員不足と育成不足


調査の結果、約半数の企業が内部通報に関するマニュアルを持っていないことも課題として浮上しました。また、企業の担当者が少数であるため、情報の属人化やノウハウの蓄積に問題があり、調査の質が担保されにくい状況です。人員を増やし、適切な研修を行うことが求められています。さらに、内部通報体制の評価・点検を行っていない企業が約半数を占めるという結果も出ています。

今後の課題


この調査結果を踏まえ、内部通報制度の運用にはさらなる取組が必要です。不正を未然に防ぐという本来の目的を達成するためには、企業全体で内部通報制度を見直し、通報者が安心して情報を提供できる環境を整えることが不可欠です。各企業がその実効性を向上させるために、内部通報の運営体制を強化し、従業員間のコミュニケーションを改善する取り組みが求められています。


まとめ


内部通報制度は、企業の危機管理において重要な役割を果たしますが、現在の運用状態では多くの課題に直面しています。これらの調査結果を参考に、企業は制度の改善に努め、従業員の声がしっかりと反映される社会的な環境を構築する必要があります。これからの企業経営において、内部通報制度の健全な運営が企業の持続可能な成長に寄与すると期待されます。


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会社情報

会社名
株式会社エス・ピー・ネットワーク
住所
東京都杉並区上荻1-2-1Daiwa荻窪タワー
電話番号
03-6891-5556

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