福島・いわき市での高齢者向け筋肉厚測定実証実験
2023年10月、福島県いわき市で、ローテックメディカルジャパン株式会社が、お年寄り向けの筋肉厚測定を行う実証実験をスタートします。このプロジェクトは、エコー技術を利用して脚の筋肉、大腿四頭筋の厚さを測定し、筋力低下の兆候を早期に発見することを目的としています。これにより、高齢者の健康保持をサポートする新たな視点が提供されることを期待しています。
実証実験の概要
この実証実験では、ポータブルエコー「KINDO」を使用します。このデバイスは、医療従事者以外でも手軽に使用できるように設計されており、筋肉の厚さをリアルタイムで可視化することができます。これにより、利用者は日々の運動の成果や筋力低下を簡単に確認することができるため、健康意識が高まることが期待されます。
実証実験は「浜通り復興リビングラボ~サイエンス×官民共創まちづくり~」の一環として行われ、医療法人社団秀友会 サンライフゆもとや医療創生大学と共同で進められます。これにより、地域社会全体での健康促進を目指す取り組みの一部として位置づけられることになります。
年齢と筋力の関係
年齢を重ねると、通常、筋肉量は減少し、それに伴って運動機能も低下します。特に高齢者は、筋肉の減少が転倒などのリスクを高める要因となります。公益財団法人長寿科学振興財団によると、運動不足の場合、70歳頃には成人期の筋肉量が10%程度まで落ちてしまうとのこと。このような背景からも、筋肉量を維持することが健康的な生活にとって重要であると言えるでしょう。
ポータブルエコー「KINDO」の特長
「KINDO」は、自宅や施設などあらゆる場所で簡単に使えるため、筋肉量の測定を手軽に行うことができます。Wi-Fi接続でiPadやiPhoneと連携することができるため、特別な条件や設備がなくても利用可能です。筋肉量を測ることで、必要に応じたエクササイズのプランニングが行いやすくなります。今後は、理学療法士やトレーナーと協力し、個々の体の状態に応じた安全なエクササイズプログラムの開発を進める予定です。
社会への影響
このプロジェクトは、地域住民の健康を保持するだけでなく、高齢社会の課題解決に寄与する重要な試みです。ローテックメディカルジャパンの代表取締役、飯村隆志氏は、全ての人々がより良い生活を送るための医療や福祉のニーズに応える革新的なヘルスケアソリューションを提供していく意義を強調しています。
実証実験は2025年10月から2026年3月までの期間で実施され、大腿四頭筋の観察と評価を通じて筋力低下予防に向けた新たなプログラムの開発に繋がることが期待されています。私たちの健康的な生活を促進し、より自立した社会を実現するために、こうした取り組みが一層広がっていくことが望まれます。