バイオマス発電の持続可能性を問う
再生可能エネルギーの導入が進められる中、FoE Japanはバイオマス発電事業者に対して持続可能性に関するアンケート調査を実施しました。この調査は、固定価格買取制度(FIT)の認定を受けた146のバイオマス発電所及び混焼石炭火力発電所を対象に行われ、58の施設から回答を得たものです。今回は、その調査結果の概要をお届けします。
アンケートの背景
バイオマス発電は、環境に優しいエネルギーの一つとして注目されていますが、その持続可能性が問われています。特に、発電に使用するバイオマス燃料が環境に配慮されたものであるかどうかは非常に重要です。そこで、今回のアンケートでは、燃料の輸入状況やトレーサビリティ、ライフサイクルGHG(温室効果ガス)の評価等について詳しく掘り下げました。
調査結果の概要
調査の結果、バイオマス発電所では多くが輸入燃料を使用していることがわかりました。全体のうち31の施設は輸入燃料のみを使用し、20の施設が輸入と国産の混焼を行っていることが確認されました。これにより、合計51件がなんらかの輸入バイオマス燃料を利用しています。主に使用されている輸入燃料としては、木質ペレットおよびPKS(パームやし殻)があります。
特に木質ペレットについては、ベトナムやカナダからの輸入が主流であることがわかりました。さらに、ペレットのトレーサビリティについては全ての回答者が確認しているものの、その詳細、つまり森林の伐採位置までを確認できているかは一部にとどまっており、約13%の施設が実際に確認できていると回答しました。生産地情報を公開している施設も少なく、発電所の情報の透明性が課題とされています。
また、PKSの多くはインドネシアとマレーシアから輸入されています。これは、バイオマス燃料の供給チェーンがエコフレンドリーであるかどうかを評価するために、さらなる情報が必要であることを示しています。
GHGのライフサイクル評価
ライフサイクルGHGの評価については、回答の約70%が「算定している」としていますが、「森林の減少や劣化に伴う炭素排出をカウントしているか」という問いに対しては、大半が「カウントしていない」と回答しています。このことから、バイオマス燃料が持つ環境への影響についての理解が不足していることが明らかになりました。
今後の課題
今回のアンケート結果から、発電所がFITの事業計画策定ガイドラインを十分に遵守しているとは言えない状況が浮き彫りになりました。バイオマス燃料の持続可能性を確認し、情報公開を行い、トレーサビリティを高める必要性が強く求められています。FoE Japanはこれらの結果を基に、関係省庁に対してガイドラインの強化と明確化を求めていく予定です。
持続可能なエネルギーの将来に向けて、バイオマス発電の仕組みとその環境影響についてより深い理解が求められています。私たち全員がその実態を直視し、行動していくことが重要です。