鹿島の無響室リニューアルで音響計測の未来が変わる

最近、鹿島株式会社が無響室をリニューアルしました。この新しい無響室は、音響性能の極限を追求した技術革新の成果です。無響室とは、音響実験を行うために、壁、床、天井を音を反射しない材料で覆った部屋で、音の反射を最小限に抑えた環境での測定が可能になります。この度のリニューアルでは、特に測定対象物を天井から吊るし、音の反射を極限まで抑える技術が採用されています。この新しい技術により、音響計測の精度が飛躍的に向上しました。

開発背景

鹿島はこれまで、多くの音楽ホールやスタジオの設計や施工を手掛けてきました。その中で、成立の重要な要素が音響特性の正確な測定であり、様々な形状や材質の壁、床、天井の音響特性を把握するためには、高精度の音響測定が欠かせませんでした。従来の無響室は、反射を抑えるためにメッシュ状の床を用いていましたが、その素材の特性から音の反射を完全に除去するのは難しく、測定精度に影響を与えることがありました。

新しい無響室の特長

新たにリニューアルされた無響室の最大の特徴は、天井裏に設置されたキャットウォークです。このキャットウォークを利用することで、音をほとんど反射しない細いワイヤーやシャフトを通して測定対象物を吊るすことが可能になりました。これにより、地面に重量のある測定装置を設置する必要がなくなり、測定対象物だけが空中に浮かぶ理想的な音響環境が実現しました。さらに、測定系の高精度な位置関係調整も可能です。四方の壁には、細いワイヤーによる位置微調整機能が搭載され、キャットウォークに取り付けられた回転装置では0.1度のステップで回転調整が行えます。

今後の展開

鹿島はこの高性能の無響室を利用し、音響空間のさらなる質向上を目指しています。音響特性の詳細な把握を通じて、より高品位な音響空間の構築に挑戦しています。また、建設業界にとどまらず、オーディオ分野など様々な分野でも使用されるOPSODISの活用や普及の展開に取り組んでいく予定です。

このリニューアルによって、鹿島は音響計測の新たなスタンダードを確立し、今後の音響技術の発展に寄与することでしょう。

参考情報として、鹿島技術研究所が提供するOPSODISに関するPDFも訪問してみてください。詳しい技術や応用事例が紹介されています。

OPSODISについてのPDF