障害のある生徒の進路と希望 ~調査結果の詳細~
株式会社スタートラインが実施した新しい調査によれば、障害を持つ生徒たちの進路選択において希望通りに進めない実態が浮き彫りとなっています。調査対象は、進路指導を行っている教員102名で、期間は2025年7月30日から8月1日。ここでは、その調査結果の詳細を紹介します。
卒業後に希望する進路とは?
調査によると、障害のある生徒たちの多くは卒業後、「一般企業への就職」を強く望んでおり、その割合は53.9%にも及びます。これに対し、「就労移行支援事業所」を希望する生徒は16.7%という結果となりました。これは、企業での職業経験を重視する生徒が多いことを示しています。
働き方に対する意向
次に、働き方についての意向を尋ねたところ、「健常者と同じ環境で働きたい」という回答が37%で最も多く寄せられました。これから、平等な職場環境への強い希望が見えてきます。一方で「リモートワークと定期的な出社のハイブリッド型」を希望する割合は13%、また「自分の特性に合った業務内容で働きたい」と考える生徒も12%いました。自身の特性を考慮した柔軟な働き方を求める声も見逃せません。「障害者同士で働きたい」という意見も10%あり、これは必ずしも社会とのつながりを避ける意向ではなく、安心感を通常以上に求める選択として捉えるべきでしょう。
教員の約7割が希望通りの進路に進めなかった
調査で「担当した生徒が希望する進路に進めたか」という問いには、約7割の教員が「進めなかった」と回答しています。これは、障害のある生徒たちが感じている希望と現実との間に大きな隔たりがあることを証明しています。このギャップを埋めるためには、進路指導の体制を強化するべきです。
進路実現を阻む要因
希望に進めなかった理由の多くは、「将来への不安」と「情報不足」が原因で、両者が同率で1位となりました。情報不足は、適切な選択肢を見極める機会を奪うだけでなく、不安を増強させる一因でもある為、その解消が急務です。
一般企業への就職に対する課題
一般企業への就職を希望する際に直面する課題として、「マッチング機会の不足」が44%で最も多く、次いで「企業の求人情報・募集枠が少ない」が30%、さらに「企業の受け入れ体制が整っていない」が28%との結果が出ました。これを見ると、企業への理解や受け入れ準備が欠かせない状況にあることが明らかになりました。
まとめ:企業と学校・支援機関の連携がカギ
過去の調査でも示されているように、社会全体における障害者への受け入れ態勢が整っていないことは大きな課題です。障害のある生徒たちが持つ希望を実現するには、企業、学校、支援機関が一体となって進路情報の透明性を確保し、実際の職場体験を通じて支援を強化する必要があります。また、多様な働き方を尊重する社会を築くためにも、障害者同士で働く選択肢を大切にし、その価値を理解することが重要です。
株式会社スタートラインは、障害者の採用と定着に注力しつつ、より多様なニーズに応じた支援を行っています。企業、学校、支援機関との連携を深め、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて努力を続けていきます。