新型コロナワクチン接種意向と自己負担額の関係に迫る
2025年1月、埼玉県に本社を置くヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社が実施した調査が注目を集めています。この調査は、65歳以上の男女4,000名を対象に、新型コロナワクチンの接種意向と自己負担額の関連性を調査したものです。
調査結果からは、自己負担額が増加すると接種意向が大きく低下する傾向が見て取れます。特に、1000円の負担増加が接種意向に与える影響が顕著であり、自己負担額が1000円減少した場合、接種率は14.0%に上昇し、さらに無料になると接種率はなんと36.5%まで跳ね上がることが分かりました。
調査の背景と目的
この調査は、2024年度に新型コロナワクチンの定期接種が自己負担制になることを受けて行われました。これまでの特例臨時接種は全額公費負担されていましたが、2024年度からは自己負担になるため、接種意向にどのような影響があるのかを調べることが目的でした。
また、「新型コロナウイルス感染症」が季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行することによって、ワクチン接種が義務ではなくなることも相まって、接種率が低下することが懸念されています。2024年度に実施された定期接種では、自己負担額が8300円の補助金制度が存在しましたが、2025年度以降の継続は報道されておらず、自己負担が増加する見込みが高いことが調査の必要性を高めました。
調査の主な結果
定期接種をしなかった人
定期接種を受けていない人は、自己負担額が減少するほど接種意向が高まる結果となりました。具体的には、自己負担額が1000円減少すると、接種率が14.0%、2000円減少した場合には24.6%、そして3000円減少した場合には36.5%に達することが明らかになっています。
定期接種をした人
定期接種を受けた人々のデータもおさえておくべきです。自己負担額が増加すると、接種意向は顕著に低下しました。具体的には、自己負担額が1000円増加した場合の接種率は、元の接種率から7.3~10.9ポイント下がる見込みです。さらに、価格が維持される場合でも、2025年度の想定接種率は低下する傾向にあるとのことです。
このように、自己負担額の変動が接種意向に大きな影響を与えることがデータから明らかになりました。
専門家の意見
静岡県感染症管理センターの後藤幹生センター長は、ワクチン接種率を向上させるためには、「自治体による接種環境の維持・充実が必要」と強調しています。現状、新型コロナウイルスによる死亡者数が依然として高く、感染者も増加傾向にあります。このため、接種率の確保が急務であると指摘しています。
後藤先生は、特に基礎疾患を持つ方々の接種環境が整備されることが重要であり、接種券の個別配布や新型コロナウイルスに関連するリスクへの啓発活動が必要と語りました。
まとめ
この調査から見えてきたのは、自己負担額の増減がワクチン接種の意向にどれだけ強い影響を持つかということです。特に、2025年度からの新型コロナワクチンの接種状況によって、さらなる接種率低下と医療体制への影響が懸念されています。今後、自治体や国がどのような対策を講じるかが注目されます。