ラオス国における栄養改善への第一歩
2023年12月15日、ビエンチャンにおいて、ラオス保健科学大学と公益社団法人日本栄養士会が基本合意書を交わしました。これは『ラオ日栄養改善プロジェクト』と銘打たれ、ラオスにおける栄養改善の基盤を構築するための重要な取り組みとして位置付けられています。
栄養改善が求められるラオスの現状
現在、ラオスでは5歳未満の子どもたちのうち約33%が発育に問題を抱えています。このような栄養不良の問題は、ラオスにおける深刻な社会課題の一つです。この背景には、経済発展や医療インフラの整備が不十分であることが影響しています。こうした中、ラオス国政府は栄養不良の解消を重要な開発目標として掲げ、自国の課題解決に全力を尽くしています。
日本のサポートとプロジェクトの内容
日本栄養士会は、東京で行われた東京栄養サミット2021において、国際的な栄養不良問題の解決に貢献する姿勢を表明しました。この際のコミットメントを受け、ラオスの政府からの支援要請に応じて、栄養改善プロジェクトが立ち上がったのです。
プロジェクトの主な内容としては、以下の2つの柱があります。
1.
地域栄養改善事業:母子を対象とした離乳食支援や、児童への栄養教育を通じた地域住民の健康状態の改善。
2.
栄養士の養成課程創設:ラオス保健科学大学において、実践的な知識と技術を備えた栄養士を育成する課程を設けること。
このプロジェクトによって、地域の栄養改善が進められるばかりでなく、将来的には専門の栄養士が地域での活動を通じて持続可能な栄養改善を推進することが期待されています。
プロジェクトの実施期間
活動は2026年1月から2027年12月までの約2年間にわたり、首都圏のサントン郡とラオス保健科学大学の両方を対象に行われます。具体的には、科学的根拠に基づいた実効性のある栄養改善モデルの構築を目指すことが目標です。
調印式の様子と関係者の挨拶
調印式には、ラオス保健科学大学のマイフォン・メイサイ学長、日本栄養士会の中村丁次代表理事会長をはじめ、ラオス保健省の副局長や日本ラオス友好議員連盟の事務局長など、様々な関係者が参加しました。調印式では、ラオス側の学長が「今日はラオスの歴史において重要な日になる」と発言し、日本の栄養改善の知見がラオスにおける栄養課題解決に寄与することへの期待を表しました。
日本ラオス友好議員連盟の佐々木太郎事務局長は、今回の調印により日本の栄養士の知識がラオスでも生かされることを願っていると強調しました。
日本栄養士会の役割
公益社団法人日本栄養士会は、管理栄養士や栄養士の職能団体として、食生活の支援や健康促進に努めています。会の活動には、生涯教育や国際貢献も含まれており、ラオスでのプロジェクトを通じて地位や身分の向上を目指します。食環境の整備を推進し、全ての人が健康的な食生活を享受できるよう活動しています。
今後の見通し
この『ラオ日栄養改善プロジェクト』の成功は、ラオス国の栄養問題を根本から解決し、さらには日本とラオスの友好関係を深めることにもつながります。これからの2年間、地域の人々の栄養状態が改善され、栄養士という専門職が確立されることに期待が寄せられています。