近年の医療現場では、業務の効率化と医療の質の向上が求められています。そんな中、株式会社ソラミチシステムと株式会社corteが共同開発したAI薬歴作成支援サービス「corte」が、日本調剤株式会社の全763店舗に導入されることが決まりました。この決定は、日本の薬局業界において大きな進展を意味します。
「corte」は、薬剤師が患者に対して行った服薬指導の内容を自動的に要約し、テキスト形式で表示するサービスです。これにより、薬歴の作成が迅速に行えるようになり、患者とのコミュニケーションにより多くの時間を割くことができるようになります。2024年11月からは、全店舗での導入が開始され、業務効率の大幅改善が期待されています。
導入前の2024年4月には、日本調剤の50店舗で先行導入が実施され、その効果が検証されてきました。薬歴作成に必要な時間の短縮や、服薬指導時のメモが不要になることで、患者との対話の質が向上したとの報告もあります。これらの成果から、全763店舗への導入が決定されたことは、業界全体においても大きな関心を集めています。
日本調剤は、全国47都道府県に調剤薬局を展開しており、患者に質の高い医療を提供することに注力しています。少子高齢化や医療制度の変化に対応するためには、薬剤師の業務負担を軽減することが必須です。「corte」が導入されることで、薬剤師は業務にかかる負担を減らし、患者との関係構築に力を注ぐことができるようになります。これにより、病院と薬局の連携が強化され、さらなる医療の質向上が狙われています。
「corte」の特徴は、会話を録音するだけで薬歴を自動生成できるところです。薬剤師は服薬指導中に録音ボタンを押すだけで、実際の指導内容や患者が伝えた情報を生成AIが要約して薬歴を作成します。これにより、従来の手間を大幅に削減し、薬歴記載にかかる時間を短縮することができます。
AI技術を用いた「corte」は、医療業界において新しいスタンダードを形成する可能性があります。薬剤師が患者の症状や薬についての詳しい情報を把握した上で、より質の高い服薬指導を行うことができるため、患者の安心感にもつながります。
また、日本調剤の長島雄一氏は、「corte」の全国導入を通じて、薬剤師による医療の質が向上し、患者との対話を深めるための新たな機会であるとコメントしています。今後も、ソラミチシステム、corte社、日本調剤は連携し続け、医療の向上を目指していく方針です。
このように、AIの活用が進む中で、薬歴作成の効率化と医療の質向上が同時に実現されることが期待されています。日本調剤の全763店舗で導入される「corte」は、薬剤師の業務を効率化し、患者のための質の高いサービス提供を実現する大きな一歩となるでしょう。