エタノールがユーグレナのグルコースストレスを軽減
研究の背景
明治大学大学院農学研究科の研究チームが、ユーグレナ(Euglena gracilis)が高濃度のグルコース条件下でどのように増殖するかを新たに解明しました。ユーグレナは光合成を行う微細藻類で、その増殖やパラミロンの蓄積を促進する炭素源としてグルコースが広く利用されています。しかし、過剰なグルコースは細胞の成長を抑制することが知られています。今回は、エタノールの追加がこのグルコースによるストレスをどう緩和するのかを探求しました。
研究のポイント
ユーグレナは、高濃度のグルコースを添加することで一時的に増殖が促進されますが、300 mM以上の濃度になると逆に成長が抑制されることが観察されてきました。研究チームは、エタノールを0.5%添加することで、この高濃度グルコースの影響を緩和できることを発見しました。具体的には、エタノールが細胞の呼吸や膜の構造を変化させ、細胞の肥大化を防いだと考えられています。
研究手法
この研究では、Euglena gracilis NIES-48株が様々な濃度のグルコースと共に培養されました。具体的には、グルコースを50〜200mM添加した場合は増殖が向上しましたが、300 mM以上では逆に増殖が低下しました。顕微鏡での観察によって、高濃度グルコース条件下では細胞が丸く肥大化していることが確認されました。一方で、エタノールを加えることで細胞数が大幅に増加し、形状も元の紡錘形に戻ることが観察されました。
主要成果
特筆すべきは、エタノールを添加した場合、高濃度グルコースの条件下でも細胞のサイズが適切に戻るという点です。実験の結果、エタノールがもたらしたストレス緩和効果は過去の研究でも示唆されている通り、細胞膜の変化などによるものである可能性があります。
また、高濃度グルコースの添加による浸透圧ストレスの影響も再度評価され、高濃度グルコースが直接的に細胞に与える影響とは異なる結果が得られました。このことから、エタノールが励起剤として機能することが示されています。
将来への期待
今回の研究結果は、ユーグレナがエタノールを炭素源として利用できる新たな道を示します。エタノールによってグルコースストレスを軽減するメカニズムを解明することができれば、ユーグレナの実用化に向けた新しい手法が見えてくるかもしれません。ユーグレナの特性を活かしつつ、より効率的な培養の条件を見つけることが今後の課題です。
論文情報
この研究成果は「Journal of Biotechnology」誌に2026年3月18日に掲載されました。著者は槇本美波氏、小山内崇准教授です。関心がある方はぜひご覧ください。 さらに詳しい内容は、
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