電子顕微鏡による半導体検査に革命をもたらす新技術の開発

株式会社Ridge-i(リッジアイ)が、日本電子株式会社との共同プロジェクトで、新たな電子顕微鏡画像を用いた半導体外観検査の技術を開発しました。この技術の大きな特徴は、検査対象が画角の外側にある場合でも、周囲のパーツ情報を基にその位置を高精度に推定できる点です。これにより、従来の技術の欠点であった位置合わせの難しさが克服され、作業の自動化が進むことが期待されています。

1. 背景と課題


電子顕微鏡を使用した半導体製品の外観検査では、検査対象のパーツが中央に位置するように手動で調整する操作が必要です。この作業は非常に手間がかかり、工数が増える原因となっています。さらに、現状の技術では、もし対象パーツが画角の外にあれば、その位置を特定することができず、業務の非効率を招いていました。自動化のボトルネックとして、動的な位置合わせ技術の開発が求められていたのです。

2. 新技術のアプローチ


リッジアイが開発した技術は、深層学習に加え、独自の手法を用いています。この技術では、検査画像に写り込むパーツの周辺情報を活用し、検査対象のパーツが画角の外にあってもその正確な位置を推定します。これにより、位置合わせの精度が大幅に向上し、実際の外観検査作業が人手を介さずに行えるようになります。すでにこの新技術は、電子顕微鏡を用いた検査や分析全般での活用が期待されています。

3. 自動化のさらなる発展


リッジアイでは、今回の位置推定技術に加え、角度の検出技術の研究開発も進めており、これによって半導体外観検査の完全自動化を目指しています。画像に映る半導体の位置だけでなく、角度も自動的に修正できるシステムの実現が待たれます。特に半導体メーカーのニーズに応えた高精度な自動撮影技術が、今後の競争優位につながることでしょう。

4. 業界からの評価


日本電子のEM部門の櫻井仁嗣氏は、リッジアイの新しいAIモデルによる位置合わせ技術が高い評価を得ていると語ります。半導体デバイスの微細化が進む中で、効率的な位置合わせはますます重要になってきています。リッジアイによって実現されたこのシステムは、高いレベルでの要求に応える技術革新として多くの期待が寄せられています。

5. 未来への展望


今後、リッジアイはさらに多様な技術をTEM(透過型電子顕微鏡)自動撮影技術に統合し、さらなる技術革新を追求していきます。半導体業界の進化に寄与するだけでなく、広く応用可能な技術として、他分野への展開も期待されるでしょう。リッジアイと日本電子の共同開発は、電子顕微鏡を利用した検査方法の大きな進化をもたらしました。両社のさらなる活動に注目が集まります。

会社情報

会社名
株式会社Ridge-i
住所
東京都千代田区大手町1−6−1大手町ビル 438
電話番号

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