太平洋クロマグロ漁獲割当、全日本マグロはえ縄振興協会が国を提訴!漁業者への不当な扱い、行政手続き法違反を主張

太平洋クロマグロ漁獲割当をめぐる訴訟:全日本マグロはえ縄振興協会が国を提訴



一般社団法人全日本マグロはえ縄振興協会に所属する漁業者は、令和6管理年度(2024管理年度)の太平洋クロマグロ漁獲割当量設定に不当な点があると主張し、国(農林水産大臣)に対して漁獲割当割合決定の取消・変更を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

この訴訟の背景には、2021管理年度の漁獲実績が割当割合算出から除外されたことが挙げられます。当協会所属漁船は、2021年度に水産庁が実施した試験的な個別漁獲割当制度(IQ)への参加を見送ったため、その実績が評価されず、大きな不利益を被ったと訴えています。

当協会は、水産庁の取り組みが行政手続き法第32条2項(不利益な取り扱いの禁止)に違反すると主張しています。2021年度は、法令上、漁獲量に制限がなく、当協会所属船は正当な理由なく不利益な扱いを受けたとのことです。

さらに、当協会は、水産庁が試験的IQ導入について虚偽の報告を行い、資源管理基本方針の改正案の承認を得たとも指摘しています。当初は、総量を漁船隻数で割る均等割り案が提示されましたが、当協会は問題点を指摘し、同意に至っていませんでした。

2022年度からの公的IQにおいては、過去3年間の漁獲実績が基準となりましたが、当協会は、特定期間の漁獲実績を基準とする方法は法律の事実上の遡及適用であり違憲・違法であると考えています。しかし、2024年度からの割当割合決定では、その過去3年間のうち2021年度だけが除外され、2020年と2022年の実績のみが基準として採用されました。

当協会は、2021年実績を含めた場合、漁獲割当割合は大幅に増加すると主張しています。具体的には、金虎丸漁業は1.68%から4.02%に、大栄丸は0.33%から3.43%に、剛徳丸は1.38%から2.80%に、海豪丸は0.29%から1.89%にそれぞれ増加するとのことです。

当協会は、見直しに伴う必要となる数量は、国の留保枠、小型魚枠からの振り替え、まき網漁船の追加枠からの拠出により確保できると考えています。

また、割当割合の修正ができない場合は、IQ制度をいったん中止し、漁業者に対して十分な周知期間を設けて再度割当割合基準、漁獲量を決定するよう求めています。

この訴訟は、太平洋クロマグロ資源の持続的な利用と漁業者の権利を守るための重要な闘いとなるでしょう。今後の裁判の行方を見守りたいと思います。

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