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新たな医療の扉を開く！圧電単結晶におけるナノドメイン可視化の画期的成果

熊本大学半導体・デジタル研究教育機構の佐藤幸生教授率いる研究グループが、エコー診断装置に用いる圧電単結晶のナノドメインに対する交流電圧応答を直接観察することに成功しました。この研究は、圧電効果を利用して医療機器の性能を向上させる可能性を秘めています。

研究の背景と重要性

従来、圧電単結晶は、医療用画像診断装置において特性を向上させるために分極処理が施されます。この分極処理は主に直流電圧を利用して行われていましたが、近年、交流電圧を加えることがより効果的であるとの報告があり、注目を集めています。しかし、交流分極により特性が向上するメカニズムや、過度な処理が特性劣化を引き起こす理由はまだ解明されていません。

画期的な研究方法

本研究では、佐藤教授らが開発した「交流電圧印加その場電子顕微鏡法」を使用し、ナノドメインの構造変化をリアルタイムで観察しました。その結果、正弦波の交流電圧がナノドメインの構造に大きな変化をもたらすことがわかりました。短時間の処理では、単一のマイクロドメインが成長する様子が見られ、長時間の処理では、電圧印加の方向に垂直な形で複数のマイクロドメインが発達する様子が観察されました。

前者は圧電特性の向上に関連し、後者は長期間の優れた分極処理が特性の劣化を引き起こす可能性があります。これにより、適切な交流分極処理がどのように特性に影響を与えるかの理解が進むことが期待されます。

研究の未来への展望

この研究の成果は、エコー診断装置の高性能化を図る一助となるでしょう。交流分極による圧電特性の向上や、その劣化メカニズムが解明されることで、より高い特性を有する分極処理プロセスの開発が今後の課題です。

この研究成果は、令和6年12月13日に米国物理学協会が発行する「Applied Physics Letters」に掲載されます。さらに、この研究は文部科学省の科研費が支援しており、学術の発展に寄与するものと期待されています。今後の研究によって、医療現場における診断技術が飛躍的に向上することが期待されています。

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