シャボン玉石けんとQsolが共同研究でスマートファクトリーを実現

シャボン玉石けんとQsolの共同研究でスマートファクトリー化を実現

福岡県北九州市に本社を置く、無添加石けんのパイオニア「シャボン玉石けん株式会社」と福岡市の「Qsol株式会社」が手を組み、製造現場のスマートファクトリー化に向けた共同研究を進めています。この取り組みは2023年4月から始まり、AIやIoT、ウェアラブルデバイスを活用して生産性と製品品質の向上を目指すものです。特に、熟練の職人の技術の継承をデータ化し、労働時間や電力コストの削減を実現することが特徴です。

背景

製造業では、人口構造の変化に伴う人材不足が深刻な社会問題になっています。競争が激化する中、企業は生産性向上だけでなく、デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進、省力化、そして熟練者の技術を継承する必要があります。特に工場内での危険な作業が多い環境では、労働災害のリスクを軽減するため、社員が働きやすい職場環境を整えることが急務となっています。

共同研究の概要

この共同研究で、シャボン玉石けんは主に現場の検証や業務評価を担当し、Qsolは技術検討やシステム開発に取り組みました。2024年度にはデータ取得の範囲を広げ、データ活用や現場改善に本格的に取り組む計画です。

主な研究内容

1. 生産性分析: スケジューラーによる自動生産計画の立案。
- 従来はベテラン社員が手作業で行っていた生産計画作成を、AI技術を使って最適化。これにより年間200時間以上の時間を削減できます。

2. エネルギー管理: エアリークの発見と電力使用量の削減。
- 工場の配管からエアリークを発見し、手順改善を行った結果、年間約3.9%の省エネを実現しました。

3. 安全管理: スマートウォッチを活用した作業員の見守り。
- 高温多湿な作業環境で、安全管理を徹底し、作業員の健康を守るシステムが導入されました。

4. 品質管理: 釜炊きのデータ収集と可視化。
- ベテラン社員の経験をデータ化し、若手への技術継承と品質高めるため、カメラとAIを使ったモニタリングを行います。

今後の展望

シャボン玉石けんは今回の研究成果をもとに、全体工場への展開を目指し、さらなる効率化を図ります。代表取締役社長の森田隼人氏は、DX導入に際し経営負担が軽減できることを強調し、特に中小企業でのモデルケースとしての役割を果たすことを確信しています。

一方、Qsol株式会社も、共同研究で得たノウハウを活かし、製造業の未来を支えるためのソリューションを提供し続ける力。また、共に持続可能な未来を築く活動を強化していく方針です。

この共同研究は、地域の製造業の未来を明るくする重要な一歩です。