多様なAI活用を支えるNew Relicの導入と中外製薬のデジタル基盤強化

中外製薬が挑むデジタル基盤の強化



中外製薬株式会社は、がん領域や抗体医薬品の開発をリードする研究開発型の製薬企業です。従来の薬剤開発に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、次世代の医療を形成しようとするハブとしての役割を果たそうとしています。特に「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」に基づき、同社はデジタル基盤の強化に注力しており、最近ではオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を導入しました。このプラットフォームにより、業務プロセスの可視化や効果的なモニタリングが可能になることで、創薬から製造、デリバリーまでのバリューチェーン全体の改善を図っています。

New Relic導入の背景



中外製薬は、特にAI技術の活用に力を入れており、「AI創薬」と呼ばれるイノベーションの実現に向けてデジタル技術を活用しています。この背景には、ロシュ社との提携を通して取り組む成長戦略があります。中外製薬は、従来の業務プロセスをデジタルに移行するため、DX/AIアプリの内製開発を進めることで、スピードと生産性の向上を目指しています。

2024年7月には、マルチクラウド環境に整備された「Chugai Cloud Infrastructure(CCI)」を基盤に、Acceleralyst(アクセラリスト)という新たなプラットフォームを導入します。これにより、New Relicが提供する可観測性を持つ基盤が整うことで、より効率的な業務支援が実現します。

Chugai AI Assistantの活用とNew Relicの導入効果



中外製薬は、オブザーバビリティを活用して全従業員向けの生成AIアプリ「Chugai AI Assistant」をCCI上に構築しました。このアプリは、複数の大規模言語モデル(LLM)を利用することができ、業務支援に特化した機能を提供しています。リリース以降、Chugai AI Assistantへの需要が増加しており、現在では約3,500名のユーザーが月間で活用し、利用トークン数も増加しています。このアプリケーションのパフォーマンスをモニタリングするためにNew Relicが活用されており、その効果的な監視により、ユーザー体験の向上が期待されています。

さらに、中外製薬はNew Relicの「AI Monitoring」機能を利用して、アプリケーションパフォーマンスモニタリングを強化しています。この取り組みによって、Chugai AI Assistantの利用環境が一層快適になり、業務効率が高まります。

安全性と信頼性の向上



Chugai AI Assistantは、高い機密性を求められる業務にも対応できるよう設計されています。AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウド施設と接続する際には、閉域網を使用することで、情報の安全性を確保しています。その結果、アプリケーションプロセスへのオブザーバビリティも実現し、技術的な支援もNew Relic日本法人から受けることで短期間での実装が可能になりました。

未来への展望



中外製薬のデジタルトランスフォーメーションユニットの川畑亮介グループマネージャーは、「オブザーバビリティを短期間で適用できたことは、新たな成果である」と語っています。また、今後はSRE(Site Reliability Engineering)活動の実践と定着化を進める方針です。New Relicは、これからも中外製薬のデジタル基盤強化に貢献し、両者のビジネスオブザーバビリティ領域における進化を支える重要なパートナーとして位置づけられています。

まとめ



中外製薬がNew Relicを導入し、高度な観測能力を活用しながら業務の可視化と効率化を図る動きは、デジタルビジネスの未来に向けた重要な一歩です。この取り組みは、医療の現場におけるデジタル化の進展を促進し、競争力を高める役割を果たすことでしょう。今後もデジタルトランスフォーメーションは様々な分野において迅速に進行し、業務の改善や革新に寄与することが期待されています。

会社情報

会社名
New Relic株式会社
住所
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー18階
電話番号
03-4577-9065

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