神戸市東灘処理場のリン回収設備がパワーアップ
2023年9月3日、神戸市は水ingグループの一員である水ingエンジニアリングに対し、東灘処理場のリン回収設備の増設工事を発注しました。このプロジェクトは、神戸市内で進められているリン回収の取り組みの一部であり、地域的にも重要な意味を持つものです。
背景:処理場の能力を最大化
水ingエンジニアリングは、2012年に設置した東灘処理場、そして2024年に計画している玉津処理場において、リン回収技術「リフォスマスターⓇ(MAP法)」を導入してきました。今回の増設工事は、その技術をさらに強化し、東灘処理場の処理能力の向上を図ります。
期待される効果:全国トップレベルのリン回収
この増設工事によって、東灘処理場では年間約200トンのリンが回収可能になります。これは日本の中でもトップクラスの水準です。この取り組みにより、処理場からの全消化汚泥の半分以上からリンを回収できるようになり、処理場内でのスケールの問題を解消し、処理水に含まれるリンの負荷を大幅に減少させることが期待されます。
地域への貢献:こうべハーベストの製造
水ingエンジニアリングは、神戸市内で回収したリンを原料に「こうべハーベスト」を製造しています。このプロダクトは、都市と農村のつながりを目指す「地域内循環」をテーマに掲げており、下水処理場から得られる再生リンの利用促進を図っています。
これまで、下水処理場由来の原料に対する消費者の印象はあまり良くなかったものの、神戸市と連携し農業者への普及活動や、農業関連イベントへの出展、教育機関との連絡を通じて、徐々に認知度が高まっています。現在、「こうべハーベスト」は用途別に4種類(園芸用、水稲用、山田錦用、軟弱野菜用)に増え、多くの農家に広がっています。
工事の詳細:大規模なプロジェクト
今回の増設工事にかかる契約金額は、1,003,860,000円(税込)で、事業期間は2025年9月4日から2027年2月26日までの約一年半にわたります。工事の主な内容は、機械設備工事と電気設備工事の2本立てです。この事業は単独企業で行われるもので、着実に進められていくことが求められます。
まとめ:持続可能な未来へ
水ingグループは、今後も地域への貢献を継続しながら、様々な水に関する課題を解決していくことを目指しています。今回のリン回収設備増設工事が、より持続可能な未来を実現するための重要なステップとなることでしょう。資源循環の推進に向けた「こうべ再生リン」プロジェクトなどを通じて、地域経済の活性化にも寄与していきます。
関連サイト:
水ingグループの目指す「水の先をつくれという」メッセージは、地域が抱える様々な課題を解決するための力強い指針となるでしょう。