超電導き電システムの営業列車への導入とその結果
駿豆線と中央本線での超電導き電システムの実証実験が進行中です。公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、伊豆箱根鉄道とJR東日本の協力のもと、営業列車への電力供給が行えるかどうかを検証しています。電力供給の安定性とその運用実績が明らかとなり、今後の技術展開が期待されています。
駿豆線での運用検証
運用開始と概要
2024年の3月13日、伊豆箱根鉄道の駿豆線大仁駅構内に超電導き電システムが設置され、営業列車への電力供給が始まりました。このシステムは、超電導状態を利用し、効率的に電力を供給します。稼働以来、約1年以上にわたり、安定した稼働が見られ、現在では約4万本の営業列車に電力を供給しています。安定した冷却を保ちつつ、始発から終電までの電流の変化もほぼ一定であることが確認されました。
信頼性と耐久性の検証
稼働中の超電導き電システムは、1年間にわたりその耐久性が確認されました。季節に関係なく、冷却が適切に行われ、電力量も安定しているため、超電導状態を維持することができています。このことは、今後の運用継続にも信頼性を与えるものとなるでしょう。
中央本線での実証試験
実証試験の概要
JR東日本の中央本線においても、超電導き電システムの実証試験が行われました。2025年の3月から4月にかけて、鉄道総研の実験所に設置されたシステムが使用され、下り線で始発から終電までの営業列車への電力供給に努めました。これによって、都市部で見込まれる多くの列車が同時に運行する状況でも電力供給が行えるかを確認しました。
試験結果
試験の結果、中央本線では最大4500Aの電流供給が記録され、回生時には2889Aの回生電流が流れる事例もありました。このように、供給電流が頻繁に変動する環境でも、システムは安定して電力供給を行うことができました。このデータは、都市圏での超電導き電システムの有効性を示す重要な成果となりました。
今後の展望と課題
超電導き電システムの導入が進む一方、さらなる効率化を実現するためには、長距離の送電が求められます。これに対応するため、ケーブルの長尺化や、接続技術の向上が必要です。また、性能向上に向けた超電導材料の研究や冷却性能の改善、設置後の保守管理の確立も今後の大きな課題となってくるでしょう。これらの研究は、国土交通省の補助金や、その他の公的支援を受けて進行中です。
結論
超電導き電システムの導入は、鉄道業界に新たなエネルギー供給の可能性をもたらすものです。これからの研究開発に期待が寄せられています。今後の技術が、より効率的で持続可能な鉄道運営を可能にすることに注目が集まります。