桐本滉平の新作漆器展が銀座・和光にて開催中
銀座の象徴とも言える和光。その本店の地階にて、漆芸家の桐本滉平氏による新作漆器展が開催されています。この展覧会では、桐本氏が手掛ける新たな漆器の数々を通じて、自然と工芸の美が融合した作品を楽しむことができます。成果を収めることはもちろん、アーツアンドカルチャーをテーマにしたこのスペースは、ただ商品を売るだけでなく、工芸の背後にあるストーリーや文化を有るがままに伝えることを目的としています。
和光の文化と歴史
和光は、伝統的な技術や現代アートの両方を受け入れながら、多くの人々と文化をつなげる役割を担ってきました。服部時計店の創業から、この場所は職人技の素晴らしさや最先端のテクノロジーを紹介する場として機能し続けています。今回の銀座店の改革も、その精神を引き継いだ素晴らしい展開の一環です。
桐本滉平の世界観
桐本滉平氏は、能登半島の輪島で8世代にわたり漆に携わってきた家庭に生まれ、漆芸の新しい表現に挑み続けています。彼の作品は、能登の自然からインスパイアされたものであり、海で拾った石や果物から得た型を用い、漆の他、布や米、珪藻土などを駆使して作られています。特に注目すべきは、「脱乾漆技法」を用いることによって、従来の輪島塗とは異なる、自然のフォルムを生かした独特な形状を持つ器を生み出している点です。
桐本氏は、その作品制作において「人間が意図してできるものではない形」に惹かれると語っています。彼曰く、自然の形の美しさが作品に反映されるべきだと感じ、それが彼の創作の根幹を成しています。
展示内容とテーマ
今回の新作漆器展は、8月1日から28日までの期間中に開催され、桐本氏が「生命の尊重」をテーマに制作した花器や酒器が中心となっています。これらの器は日常の暮らしに寄り添いつつ、彼の独自の視点である自然との対話を感じることができます。
また、特筆すべきは、今年の震災で損壊した工房から生まれたリファインされた作品の数々です。傷ついた輪島塗の椀が、能登で採取された珪藻土の技術を応用して再生されるという試みは、みなさんに新たな美のあり方を提案します。
この展覧会は、単に作品を鑑賞するのではなく、能登の大自然を感じながら、その背後にある物語と桐本氏の思いを理解する貴重な機会です。様々な形や素材に触れて、自然の美しさを感じ取ってみてください。
プロフィール
桐本滉平(Kohei Kirimoto)
漆芸家としての道を歩み始めた彼は、1992年に石川県輪島市に生まれました。漆、麻、米、珪藻土を用いた乾漆技法を駆使し、「生命の尊重」をテーマにした作品を制作しています。国内外のアーティストやブランドとのコラボレーションにも意欲的であり、現代のアートシーンで重要な存在となっています。
開催概要
漆芸家 桐本滉平 新作漆器展
日程: 2024年8月1日(木)–28日(水)
時間: 11:00–19:00
場所: 本店地階 アーツアンドカルチャー
作家在廊日: 8月1日(木)
※都合により変更の可能性があります。
この機会にぜひ、桐本滉平氏の漆器展を訪れて、彼の作品と自然の美を感じてみてください。