革新的な半導体故障解析技術「TD Imaging」
浜松ホトニクス株式会社が最近発表した新たな技術、TD Imagingは、半導体デバイスの故障解析において革新的な進展を見せています。この新技術は、デバイスの故障部分を非破壊でマイクロメートル単位の高精度で特定できるという魅力的な特徴を持ちます。5月12日からは国内外の半導体デバイスメーカーに向けた受注が開始される予定です。
半導体故障解析の重要性
半導体デバイスは、AIや自動運転車の普及とともに需要が急激に高まっています。それに伴い、故障の解析はますます重要な作業となっています。これまでは、半導体テスタで電子的に故障を検出した後、専用の解析装置を用いて絞り込み、その後電子顕微鏡で物理的な原因を特定するという工程が主流でした。しかし、3次元構造化や微細化が進んだ最新のデバイスでは従来の手法では故障箇所の検出が難しくなっていました。
TD Imaging技術の特長
新開発のTD Imagingは、計測対象の表面にレーザを照射し、その反射率の変化を分析することで局所的な発熱を捉える技術です。この技術は、今までの発熱解析法であるロックインサーモグラフィ(LIT)やIR-OBIRCH解析と比較して、非常に高い感度と空間分解能を実現しています。
空間分解能の飛躍
具体的には、LITの空間分解能が10μm以上であるのに対し、TD Imagingは2μm未満という素晴らしい精度を誇ります。このため、例えば金属層下にある故障位置を非破壊で特定できる可能性が飛躍的に向上し、従来では発見できなかった故障原理を明らかにすることができるようになるのです。
TD Imagingの実用性
TD ImagingとLITを同装置に搭載することが可能で、広範囲の信号をLITで検出した後、TD Imagingによって2μm範囲まで絞り込むことができます。この流れによって物理的な故障解析の成功確率が飛躍的に向上し、今まで見つけられなかった故障原因の特定が可能となります。
価格と販売計画
この新しいTD Imaging計測モジュールは、半導体故障解析装置PHEMOS-X用として発表され、税抜きで88百万円からの価格で提供されます。また、初年度には6台の販売を目指し、5年後には累計で50台の販売を計画しています。さらに製品の後付も可能で、すでに納入されているPHEMOS-Xシリーズにも対応できます。
お問い合わせ先
この技術に関する詳しい情報は、浜松ホトニクス株式会社の公式ウェブサイトから得られます。また、報道関係者や一般の方はそれぞれの問い合わせ先へ直接連絡することができます。
新しい技術が製品の品質向上に寄与し、業界全体に革新をもたらすことが期待されています。最新の半導体故障解析の技術が、私たちの生活にどのように影響を与えるのか今後の展開に目が離せません。