下水汚泥の再利用が進む!名古屋と北九州で新たな肥料化システム導入
最近、名鉄エンジニアリング株式会社が展開する下水汚泥燃料化システム「ジェイコンビ®」に関し、名古屋市および北九州市が新たに「菌体りん酸肥料」としての登録を行ったことが発表されました。この取り組みは、地域での資源の有効活用及び持続可能な肥料生産の一環として注目されています。
日本の肥料事情
日本において、食料生産を支える肥料原料の多くは輸入に依存しています。そのため、国際市況の動向や原料を輸出する国々の政策に影響されやすい環境にあります。日本政府は2030年までに堆肥や下水汚泥の使用量を倍増し、2つの都市が取り組むこの肥料化プロジェクトは、国の方針とも合致した重要な意味を持つのです。
また、2050年には化学肥料の使用量を2016年比で30%削減する目標も掲げており、下水汚泥を肥料として活用することで、リスクを分散し、国内資源の利用促進を目指しています。
ジェイコンビ®の新たな展開
「ジェイコンビ®」は、これまで主に埋立てや焼却によって処分されてきた下水汚泥を有効活用するためのシステムとして、名古屋市や北九州市で実績をあげています。このシステムにおいては、汚泥をカーボンニュートラルなバイオマス燃料として再生するだけでなく、地域に応じて肥料としての利用も進めています。
汚泥から作られた「菌体りん酸肥料」は、名古屋市および北九州市のそれぞれの下水処理施設「空見スラッジリサイクルセンター」と「日明浄化センター」で製造されます。これらの施設では、りん酸と窒素成分を含む堆肥が生産されており、循環型社会の一環として地域に貢献することを目指しています。
名古屋市と北九州市の登録内容
- 肥料の名称:循かんだいなごん
- 保証成分量:りん酸全量3.0%、窒素全量4.0%
- 登録有効期限:令和6年7月29日~令和9年7月28日
- 肥料の名称:OH! DAY! 北九州
- 保証成分量:りん酸全量3.2%、窒素全量4.0%
- 登録有効期限:令和6年9月19日~令和9年9月18日
堆肥の生産はこれまで十分に行われてきましたが、特に肥料としての利活用に関しては、今後地域のニーズに応じて柔軟に対応していくことが求められます。この取り組みが全国的に広がれば、今後の持続可能な食料生産にとって大きな影響を与えることでしょう。
循環型社会の実現に向けた貢献
今回の「菌体りん酸肥料」の登録を受け、日鉄エンジニアリング株式会社は地域の廃棄物の有効活用を進め、持続可能な下水道事業の展開に寄与することを強調しています。廃棄物をただ処分するのではなく、資源として再利用し、地域社会の課題を解決するために必要な取り組みと言えるでしょう。
今後の展開に注目が集まり、下水汚泥の持つ可能性はますます広がっています。地域資源を利用した新しい肥料がどのように展開されていくのか、その動向が期待されます。