被爆80年、桂子さんが語る平和への思い
被爆80年を迎えた今、私たちは過去の教訓を忘れず、未来に向けた希望を見出すことが求められています。その中で、小倉桂子さん(87歳)は約40年間にわたり、被爆体験を語り続けてきました。彼女の活動は国内外に広がり、多くの人々に平和の大切さを伝える源となっています。今回は、彼女の過去の体験や、未来に向けてのメッセージについて深く掘り下げてみましょう。
被爆からの道のり
小倉さんは8歳の時、広島の爆心地から約2.4キロの場所で被爆しました。幸運なことに軽傷で済んだものの、目の前で次々と亡くなる人々の光景は彼女の心に深い傷を残しました。このトラウマは長い間、彼女の中に秘められたものとなっていました。
しかし、彼女の人生は42歳の夫の死によって大きく変わります。夫は英語に堪能で、原爆資料館の館長を務めていました。彼の死後、夫の遺志を継ぎ、通訳として海外に被爆者の声を届け始めたのです。その時の心境について小倉さんは「悲しみの中で、私は彼の代わりに立たなければならなかった」と語っています。
国際的な証言活動
小倉さんが証言活動を始めた頃は、通訳の役割に徹していましたが、次第に自身の被爆体験を語るようになります。そして、その活動は約40年間にわたり続いてきました。2021年にはG7広島サミットで証言し、2022年にはノーベル平和賞授賞式でもその声が響き渡りました。彼女は独学で身につけた英語を駆使し、国際的な舞台で「一市民」として自身の体験を伝えています。
教育を通じた継承
小倉さんは、教育現場が被爆体験の継承において重要な場であると考えています。2022年、彼女はアイダホ大学を訪れ、生徒たちに紙芝居を通じて自身の被爆体験を伝える機会を得ました。広島市の高校生が作成したその紙芝居は、アメリカの学生たちに新たな視点を提供しました。彼女の経験を経て、学生たちはその紙芝居を英訳し、自らの知識を広げる活動を始めました。このように、彼女の思いは着実に次世代に受け継がれています。
声を届け続けることの意義
「来年の8月6日、私は元気でいられるかな?」と、彼女は自身の健康を顧みながらも、平和のために声を届けることが自分の使命だと感じています。草刈正雄さんが語るように、「継承には教育とメディアが大切」という言葉が示すように、小倉さんの活動は多くの人々に影響を与えています。彼女が次世代に火を灯す役目を果たしてきたことはまさに素晴らしいことです。
小倉さんの未来と願い
最後の仕事として、彼女は被爆者の思いを次世代へとつなげる使命を果たしたいと願っています。2025年8月4日には88歳を迎えますが、今後も彼女の語りかけが平和の種をまくことに貢献することを期待しています。小倉さんの活動を通じて、多くの人々が受け取った平和への思いが、未来に向けて花開くことを望みます。
番組概要
【番組タイトル】 被爆80年報道特別番組 彼女が世界に語る理由
【放送日時】 8月6日(水)午前9時50分~10時45分
【ナレーション】 草刈正雄
このドキュメンタリーを通じて、小倉桂子さんの思いが、多くの人々に届き、未来に希望をもたらすことを願っています。