エーザイとの協働による製販後DB調査の新展開
リアルワールドデータ株式会社(RWD)は、エーザイ株式会社と協力し、先進的な製造販売後データベース調査(製販後DB調査)を実施しました。この調査は、電子カルテやレセプト、DPCデータを基に構築した医療情報データベースに、新たに製造販売後調査特有のデータを追加収集するものです。これにより、医療機関や製薬企業の負担を軽減し、より効率的なデータの収集を目指します。
背景
製販後DB調査では、従来の医療情報データベースの限界に直面していました。必要なアウトカムや有害事象がデータベースに含まれていない場合、調査を実施することが困難であったためです。また、医師の働き方改革が進む中で、使用成績調査が求められる一方、医師の負担が増大する課題もあります。これらの背景を受け、RWDでは次世代のPMSを模索することになりました。
取組の詳細
RWDでは、効率的な情報収集のために、データを2つのカテゴリに分類しました。ひとつは、日常診療の結果として得られる電子データベースであり、もうひとつは医療情報データベースに含まれない医師による診断が必要な情報です。これを実現するために、RWDが既に構築している電子カルテデータ由来の医療情報データベースの技術を活用し、PMS用にデータベースを再構築しました。さらに、PMS対象の患者に連携可能な電子カルテシステムを新たに開発し、必要な情報の収集ができる環境を整備しました。
今後の展望
この新たな製販後DB調査は、日本国内でも先進的な事例とされ、RWDが提唱する「HYBPMS」と名付けられました。この枠組みを通じて、医療機関や製薬企業に対して積極的に推進していく予定です。これにより、既存の医療情報データベースには含まれない情報を活用することで、従来の調査手法では対応が難しかったPMSの運用が可能になります。
RWDは、この新しいデータ収集手法が医療機関や製薬企業の作業負担を減らし、さらには「社会課題に対しデータとICTの力で解決を目指す」というJMDCグループのビジョンと相まって、持続可能なヘルスケアシステムの実現に向けて貢献すると考えています。
企業紹介
リアルワールドデータ株式会社は2015年に設立され、自治体からの健診データや医療機関からの診療情報を集計し、医療の進歩に寄与する「ライフコースデータベース」を構築してきました。2022年にはJMDCグループに参画し、医療機関全体のデータインフラが理想的に活用される社会作りに取り組んでいます。
一方、株式会社JMDCは2002年に設立され、医療ビッグデータにおけるパイオニア的存在です。独自のデータ匿名化技術を用いて、12億5000万件以上のデータを分析し、医療経済や安全性評価にも注力しています。
私たちの目指す未来は、医療データとその解析能力の活用を通じて、健康で持続可能な社会の実現です。