コラーゲンの新効果
2018-05-14 00:00:02
ゼライス社と横浜市立大学、コラーゲンのアトピー改善効果を発表
ゼライス社と横浜市立大学の共同研究
5月11日から岡山県立大学で開催された第72回日本栄養・食品学会にて、ゼライス社中央研究所と横浜市立大学皮膚科が共同で実施した研究の成果が発表されました。この研究は、「コラーゲン・トリペプチド(CTP)がアトピー性皮膚炎に与える影響」を探るもので、その結果に注目が集まっています。
アトピー性皮膚炎とその病態
アトピー性皮膚炎は慢性の皮膚疾患であり、その特有の症状には掻痒感が伴い、患者の生活に深刻な影響を及ぼします。病態としては、皮膚のバリア機能の破壊やそれに続く免疫の過剰反応が挙げられます。これまでの研究において、コラーゲン・トリペプチドが乾燥肌のバリア機能の改善や掻痒感の抑制に寄与することが明らかにされていましたが、今後はアトピー性皮膚炎の炎症の詳細なメカニズムを探ることが目指されました。
実験の概要と結果
本研究では、アトピー性皮膚炎の炎症モデルを利用し、コラーゲン・トリペプチドがどのように効果を発揮するかを検討しました。その結果、CTPの添加により、アトピー性皮膚炎に特徴的なマーカーであるTARCやTSLPのmRNA及びタンパク質の生成が有意に低下したことが確認されました。また、炎症モデル細胞の培養上清は血中の白血球の遊走を有意に抑制し、特にCCR4陽性細胞の割合が大きく減少しました。これにより、CTPがJAK-STAT経路を通じて炎症反応を抑制する可能性が示唆されました。
臨床研究の実施
さらに、中央研究所所長の酒井康夫氏は「アトピー性皮膚炎に対するコラーゲン・トリペプチドの臨床検討」に関する研究結果も発表しました。この試験では、アトピー性皮膚炎患者を対象に、CTPと一般的なコラーゲン・ペプチド(CP)の効果を比較しました。無作為化二重盲検プラセボ対照試験として実施され、12週間の経過観察には発疹の面積や水分量、血中マーカーの測定が含まれました。
結果の詳細
試験の結果、CTP群では発疹面積や重症度スコア(SCORAD)、経皮水分蒸散量が有意に改善され、血清中のTARCレベルも低下しました。一方、対照のCP群では、好酸球が有意に上昇し、他の項目では有意な効果が見られませんでした。このことから、コラーゲン・トリペプチドはアトピー性皮膚炎患者の炎症反応を抑制する顕著な効果を示すことが分かりました。
結論
この研究により、コラーゲン・トリペプチドのアトピー性皮膚炎に対する治療効果が実証され、今後の治療における新たなアプローチの可能性が見えてきました。ゼライスと横浜市立大学の共同研究は、アトピー性皮膚炎の患者にとって希望となる結果をもたらしました。今後も研究が進展し、新たな治療法が確立されることが期待されます。
会社情報
- 会社名
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ゼライス株式会社
- 住所
- 宮城県多賀城市栄4丁目4番1号
- 電話番号
-
022-361-8821