大林組の新たな挑戦
近年、労働力不足が深刻化する中、さまざまな産業での自動化が急速に進んでいます。その中でも、建設業界における自動運転技術は特に注目されています。株式会社大林組は、新たにホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発し、実技試験を茨城県の大林神栖バイオマス発電所で行いました。これは、建設業界における省人化や作業効率の向上に向けた大きな一歩といえるでしょう。
1. 自動運転装置の開発の背景
現在、ショベルカーやダンプトラックをはじめとする建設機械は、建設業以外でも幅広く使用されています。それに伴い、各業界では長時間労働や労働者不足といった問題への対応が求められています。こうした課題を解決するために、大林組は「ロボティクスコンストラクション」と名付けた技術開発を推進しています。この取り組みの一環として、自動運転装置が誕生しました。
2. 自動運転装置の特長
今回開発されたホイールローダ用の自動運転装置は、特にユーザビリティに優れています。このシステムはさまざまなメーカーや機種のホイールローダに後付け可能であるため、導入が容易です。装置には自動運転システムや3D-LiDARセンサー、傾斜計が組み込まれており、これによりホイールローダは自動的に作業位置に移動し、運搬作業を行います。
さらに、運搬物の形状や作業位置を常に把握しながら効率的に動くため、設計者の熟練度にかかわらず簡単に操作できます。帳票機能も備えており、作業内容の追跡が可能です。
3. 実証実験の成果
実証実験では、バイオマス発電の燃料となるPKSを用い、集積場から燃料投入口までの間で135トンを約2時間半で運搬しました。実験には夜間の運用も含まれ、暗闇でも問題なく作業が行えることが確認されました。この実験結果は、ホイールローダの自動運転が現実のものとなったことを示しています。
4. 今後の展望
大林組の自動運転装置は、定常的な作業環境下で昼夜を問わず運用できるため、採石業や他の発電所など、さまざまな分野への応用が期待されています。今後も技術開発を継続し、作業の省人化や生産性向上に寄与していくことを目指しています。
まとめ
建設業界における自動運転技術は、今後ますます重要な役割を果たすでしょう。大林組の取り組みは、建設現場だけでなく、さまざまな産業での生産性向上と省人化に寄与することが期待されます。たゆまぬ技術革新により、我々の働き方がどのように変わっていくのか、注目が集まっています。