2025年3月20日から3月26日までの間、アイデムフォトギャラリー[シリウス]にて、田中茂氏の写真展『雨ニモマケズ -回転円盤式電力量計のある街角-』が開催されます。このイベントは、昭和や平成を生きた方々にとって懐かしい存在である回転円盤式電力量計の写真を集めたもので、約55点のカラーフォトが展示される予定です。
田中氏が展示するのは、機械式電力量計とも呼ばれる古き良きデザインの電力量計です。これらはガラスケースに収容され、回転する円板が電気の使用量を示すメカニズムを備えていました。現在では電子式の計器に取って代わられ、ほとんど目にすることがなくなったこの機械式電力量計。しかし、田中氏はその最期の数年間を捉えた作品を通じて、当時の街角に息づいていた記憶を呼び戻そうとしています。
展示の特徴は、電力量計が設置された家屋の多様性です。新しいデザインの住宅もあれば、時代の移り変わりを感じさせる廃屋も観察できます。様々な材質の家々が、その地域の個性を反映しており、その中に電力量計が存在することで、一つの完結した景色が生まれるのです。田中氏は、これらの写真を通じて、そこに住む人々の生活や情緒も同時に伝えようとしています。
訪れる人々は、ただの機械が存在するだけではなく、その背後にある人間の温もりや喜怒哀楽を感じることでしょう。田中氏が強調するのは、電力量計が周囲の環境と調和し、静かに人々の暮らしを支えてきたということです。街の個性が埋没しがちな現代において、豊かな記録としての画像は、私たちに新たな視点を提供してくれるに違いありません。
田中茂氏自身は東京で生まれ、千葉大学の工学部にて写真工学を学んだ後、1970年代から80年代にかけてさまざまな写真事務所での経験を積み、1981年に独立。その後、フリーランスとして活動を続けてきました。多くの国内外のイベントや出版物に寄与してきたという実績を持つ彼は、特に広告分野において多彩な作品を発表してきました。
この写真展は単なるアートイベントではなく、田中氏が凝縮した街の記憶そのものです。懐かしさと新しさが融合した彼の作品を通じて、来場者は自身の過去を振り返り、あの頃を思い出すきっかけを得られるでしょう。
なお、展示会の詳細や最新情報については、シリウス公式ブログやFacebookなどでも発信されています。ぜひ足を運んで、この貴重な展示をお楽しみください。アイデムフォトギャラリーへのお問い合わせは、電話または公式ウェブサイトをご利用ください。