ペロブスカイト太陽電池の研究が進展する中、インクジェット塗布装置「PerovsJet」が登場
近年注目を集めているペロブスカイト太陽電池において、効果的な開発手法として期待されているインクジェット技術。この技術を使ってペロブスカイト層の塗布を実現する新しい卓上型の装置「PerovsJet」が、株式会社マイクロジェットによって2024年10月8日に販売が開始される。この装置は、研究者たちがペロブスカイト太陽電池の試作や評価をより効果的に行うための重要なツールとなるだろう。
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池は、結晶シリコン型に代わる次世代の太陽電池として注目されている。この太陽電池は特有の結晶構造を持つペロブスカイトと呼ばれる化合物を用い、軽量で低コストであるだけでなく、フィルム状に加工できるため、窓ガラスやビル外壁、自動車への搭載といった幅広い応用が期待されている。その結果、日本発の技術として世界的にも大きな関心を集めている。
研究の現状と課題
現在、ペロブスカイト太陽電池の開発は主に研究室でのスケールで進んでおり、スピンコート法による薄膜構造の評価が中心となっている。しかし、スピンコート技術では大型化が困難で、商業化や量産に向けた大面積での製造が重要な課題とされている。そこで新たに注目を集めているのがインクジェット技術である。この技術を活用すれば、ペロブスカイトの液材料を微細なノズルから噴射し、均一な層を形成することができ、より大規模な個体の制作が可能となる。
PerovsJetの特徴と利点
新たに登場する「PerovsJet」は、様々な液体を噴射できる強化型のヘッドを搭載しており、最も厄介な問題であったペロブスカイト液材料のアタック性に対応できることが特長である。ガラス製のシングルノズルヘッド「GlassJet」により、DMFやNMPなどの高その特色に耐えることができ、加えて、目詰まり防止機能を完備しているため、安定した薄膜形成が可能になった。これにより、塗布時に生じる問題を克服し、ず柔軟な調整が実現可能。
また、PerovsJetは必要な部位にのみ材料を吹き付けるため、材料の使用効率が向上し、画像や文字などのグラフィカルなパターンを形成することもでき、他の技術にはない独自の利点を持っている。
様々な応用と具体的な仕様
PerovsJetは、ペロブスカイト太陽電池の試作だけでなく、有機半導体やセンサーといった微細デバイスにも応用可能であり、回路形成にも利用できる。具体的には、以下のような用途が考えられる:
- - ペロブスカイト液材料のインクジェット塗布評価
- - 微細デバイス製作
- - 金属ナノインクによる回路形成
装置自体はコンパクトで、最大基板厚10mmまで対応。必要に応じて加熱機能も搭載されており、幅広い研究開発シーンで活躍が期待される。
まとめ
ペロブスカイト太陽電池のさらなる進化に期待が高まる中、マイクロジェットの「PerovsJet」が登場することで、その研究開発が加速することは間違いない。今後の展開に目が離せない。新しい技術が、次世代のクリーンエネルギーを実現する鍵を握ることになるだろう。