リン不足でも育つ植物の魅力に迫る！根からの分泌が重要な役割を果たす

リン不足でも育つ植物のメカニズム

広島大学と岡山大学をはじめ、北海道大学と山形大学が共同で行った研究によって、リンが少ない土壌でも育つ植物の仕組みが明らかになりました。この発見は、農業における新たな可能性を提示しています。

リン吸収の効果的な方法

研究者たちは、特に南西オーストラリアで自生するピンクッションハケア（Hakea laurina）という植物に注目しました。この植物は、超低リン耐性植物として知られ、通常の土壌ではリンが不足している環境でも生育できる特性を持っています。その秘密は、根のクラスターと呼ばれる特殊な形態にあります。

クラスター根は、側根が密集して形成され、根の表面積を大幅に拡大することで、効率的にリンを吸収します。さらに、この植物は多くの有機酸や酸性ホスファターゼと呼ばれる酵素を分泌し、根の周辺土壌中のリンを吸収しやすくするという優れた能力も持っています。

分泌メカニズムの解明

これまで、根からの分泌物は主に根の表皮で行われていると考えられていました。しかし、この研究では、クラスター根を持つヤマモガシ科の植物が、根の皮層組織からも分泌を行っていることが解明されました。この新たな知見により、根分泌のメカニズムについての理解が深まります。

特に、研究チームはリンゴ酸トランスポーター遺伝子HalALMT1を特定し、その活動や組織内での存在位置について詳しく調べました。また、酸性ホスファターゼの活性染色試験を通じて、有機酸や酸性ホスファターゼがクラスター根の皮層から分泌されていることを突き止めました。