京都大学の研究成果が生んだ革新技術
国立大学法人 京都大学 大学院情報学研究科に所属する原田博司教授の研究グループが開発した新しい無線通信規格、Wi-SUN FAN1.1が、世界で初めてWi-SUN アライアンスからの認証を取得しました。この革新的な技術は、IoT(Internet of Things)向けに設計されており、特にスマートシティやスマートメータリングの分野での活用が期待されています。
Wi-SUN FAN1.1とは何か
Wi-SUN FANは、複数のセンサーやメーターをはじめとする通信機器がネットワークとしてつながり、広域でのデータ収集や情報交換を実現するための国際的な無線通信規格です。これは主に、都市インフラの高度化や環境監視のために導入されることが想定されています。特に、数100台以上の機器が相互に接続される大規模なIoTシステムに適しています。
従来の規格では、伝送速度が数100kbpsと限られており、動画データなどの大容量データを扱うには不十分でした。しかし、Wi-SUN FAN1.1では、従来の20倍以上の伝送速度が期待されており、最大で2.4 Mbpsの速度を実現しています。この技術革新により、即時性が求められる多様な応用が可能になり、都市の効率化や生活の質の向上が図れるとされています。
どのような機能が実装されているか
Wi-SUN FAN1.1には、多くの先進的な機能が搭載されています。主な特徴は以下の通りです。
- - 物理層およびMAC層: IEEE 802.15.4/4g/4eに対応
- - プロトコルスタック: 6LowPAN、IPv6を用いたアダプテーション層、ネットワーク層、トランスポート層
- - マルチホップ通信: RPLを用いた通信方式
- - 周波数ホッピング: 複数の周波数を活用
- - 認証セキュリティ: スマートなセキュリティ対策
- - マルチベンダ相互接続性: 異なるベンダーの機器が相互に接続可能
- - 高速通信への対応: OFDM変調方式への対応
これらの機能により、ユーザーは高性能で安定した無線通信の恩恵を受けることができます。特に重要なのは、高速かつ高い耐障害性を持っている点であり、ネットワークの可用性を大幅に向上させます。
認証取得の意義
Wi-SUN FAN1.1の認証日は2025年2月20日であり、認証機関はWi-SUNアライアンスです。この試験には一般財団法人テレコムエンジニアリングセンターが関与し、無線機が技術仕様書に基づく要件を満たしているかどうかの厳格な審査をクリアしました。この認証は、技術の市場導入を進める上で重要な一歩であり、製品の信頼性を示すものでもあります。
今後の展望
今後もWi-SUNアライアンスは様々な相互接続性の検証や技術適合性のテストを実施し、Wi-SUN FAN1.1の普及を推進していきます。製品の社会実装に向けた取り組みが期待されており、これを活用した新たなサービスやインフラの構築が進むでしょう。具体的には、2025年3月3日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで行われる「Wi-SUN Open House 2025」や、3月25日からの米国ダラスでの「DistribuTECH 2025」において、この技術の展示が行われる予定です。
新たな技術の誕生は、未来のスマートシティに向けた大きな革新の一歩となりそうです。詳しい情報は、
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