全国の自治体で深刻な空き家問題の実態調査結果が明らかに
全国空き家対策コンソーシアムが行った調査によって、自治体の空き家対策が直面している困難な現状が浮き彫りになりました。調査対象となった183自治体からの結果は、特に新設された「管理不全空家等」の認定や予算配分において深刻なリソース不足が示されています。
調査の背景
近年、日本全国で空き家の増加が大きな社会問題となっています。総務省の発表によれば、全国の空き家数は900万件にも及び、新たに2023年12月に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行が予定されています。しかし、この法改正によって新設された「管理不全空家等」の認定に関する進捗は思わしくありません。
管理不全空家等の勧告実績がわずか6%
改正により設けられた「管理不全空家等」の施行から1年以上経過したにもかかわらず、勧告が行われたのはわずか6%にとどまります。多くの自治体において、認定基準の策定が未だに進んでおらず、そのため勧告が行われないという現実が浮き彫りになっています。また、空き家対策特別措置法が施行されてから約10年が経過した「特定空家等」の勧告実績も半数以下という状況です。
リソース不足が深刻な問題に
調査によると、過半数の自治体が空き家対策に割り当てられた予算や人員に対して不満を抱えていることがわかりました。具体的な調査結果では、54%の自治体が不十分なリソースと感じており、予算の増加を実感している自治体は約28%にとどまります。この現状は、限られた予算の中でどのように空き家対策を進めるかという課題を明確にしています。
調査結果の概要
特定空き家等・管理不全空き家等の勧告結果
1.
管理不全空き家等: 施行から1年以上経過し、勧告実績はわずか6%。
2.
特定空き家等: 勧告が行われたのは約4割、残りの約6割は実績なし。
予算や人員の状況
3.
リソース不満: 54.6%が不満を持つ、満足したのはわずか5.5%。
4.
予算増加: 前年度と比べて増加したとしたのは28.4%、半数以上が「変わらない」と回答。
今後の取り組みの重要性
これらの結果を受けて全国空き家対策コンソーシアムは、基礎自治体における空き家対策の支援を強化する方針を打ち出しています。特に小規模な自治体では、予算や人員が不足しているため、その支援が急務です。民間事業者との連携や効果的なリソース配分が今後の課題として顕在化しています。
結論
空き家問題は日本全体に影響を及ぼす社会課題であり、各自治体の取り組みが求められます。全国空き家対策コンソーシアムは、ガイドライン整理や民間企業との連携を通じて、効果的な空き家対策が進められることを目指しています。この調査結果を契機に、自治体での具体的な対策が実施されることに期待が寄せられます。