ロート製薬とPKSHAの共同開発
日本のロート製薬株式会社と株式会社PKSHA Technologyが、寄り添い型の音声対話AIを共同開発しました。このプロジェクトは、子どもたちや高齢者が直面する孤独感を軽減し、ウェルビーイングをサポートすることを目的としています。特に、精神的な健康が重要視されるこの時代において、多くの人々が抱える悩みに寄り添う技術としての役割が期待されています。
背景:日本の社会課題とAI技術の貢献
現在、日本は貧困や教育格差、いじめ、孤独といった社会課題に直面しており、特に子どもたちが抱えるこれらの問題は深刻です。OECDの調査によると、日本の子どもたちの3割が「孤独を感じる」と回答しており、この割合は他国と比較しても非常に高いのです。また、日本は超高齢社会に突入しており、高齢者の孤独も避けては通れない課題となっています。
このような背景から、ロート製薬はコミュニケーションに特化したAI技術を持つPKSHAと協力して、孤独感を和らげるための新しい音声対話AIの開発に乗り出しました。
寄り添い型音声対話AIの特長
開発された音声対話AIは、パソコンやタブレットを通じて利用でき、利用者の質問にただ答えるだけでなく、しっかりと傾聴することを重視した設計がなされています。このAIは、問いかけに即答するのではなく、内容を理解し、心地よい会話を実現します。
このAIの特徴として、心配を煽る表現を取り除くこと、自然な会話のスピードで対話を行うことが挙げられます。これにより、利用者は自分自身の内省を深めたり、振り返りを通じて気づきを得たりすることが期待されます。
また、このAIは「相談モード」や「おしゃべりモード」を搭載し、気軽に悩みを相談したり、友達には言えない話題について話し合ったりするための場を提供します。これにより、心理的にもポジティブな影響を与えることが目指されています。
検証結果と今後の展望
実際にこのAIを使って検証が行われ、スクールに通えない子どもたちを対象にアンケート調査が実施されました。30名の回答者のうち、約33%が「とても楽しかった」、66%が「楽しかった」と回答しました。これに対し、「人間と話しているように心が軽くなった」、「普段は言えないことを話せた」といったポジティブな反応が寄せられました。
今後は、孤独や孤立を抱えがちな人々が集まる場所での導入を検討し、さらに多様なユースケースを探求していく予定です。特に工場や職場での使用が期待され、エッセンシャルワーカーのメンタルケアを支え、安心して働ける環境作りを進めていく考えです。
企業情報
PKSHA Technology
PKSHA Technologyは「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに、企業との協力を通じてAIソリューションを提供しています。自然言語処理技術を用いた自動応答システム、画像・動画認識、予測モデルなど、多岐にわたる技術で顧客の課題解決に貢献しています。
所在地: 東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4F
ホームページ: PKSHA Technology
半蔵門のびすここどもクリニック
このクリニックは、身体と心の両面から子どもを診察し、地域との連携を重視して健やかな成長を支えています。
所在地: 東京都千代田区一番町4-16プルミエール一番町1階
ホームページ: 半蔵門のびすここどもクリニック