世界初の遮熱塗料によるカーボンクレジット化プロジェクト発表
株式会社Linkhola(東京都港区)と株式会社フジサワ(群馬県前橋市)が共同で実施するプロジェクトが注目されています。このプロジェクトは、遮熱塗料を用いての空調エネルギー削減効果をクレジット化する過去に前例のない取り組みで、2025年度秋には第一号のボランタリークレジット発行を目指しています。
プロジェクトの背景
日本では近年猛暑日が増加し、特に都市部ではヒートアイランド現象が影響を及ぼし、建物内部の温度上昇に伴い熱中症リスクが高まっています。これにより空調の電力消費が増え、企業は電力コストを抑えることが喫緊の課題となっています。この問題を解決するために、遮熱塗料が注目を集めています。
遮熱塗料は、建物の屋根に塗布することでその表面温度を低下させることができ、具体的には年間約68万kWhの空調使用電力量削減が可能です。市場規模も年間1千件、50億円に達したとされ、脱炭素化に向けた関心が高まる中でさらに拡大が見込まれています。
しかし、これまではその省エネ効果を定量的に示す方法が不足しており、投資対効果の評価が難しいという課題がありました。そのため、Linkholaとフジサワは、遮熱塗料の省エネ効果やCO2削減効果を「見える化」するための方法論を共同で開発することになりました。
プロジェクトの具体的な内容
Linkholaは、ボランタリークレジットの創出から取引までを支援するスタートアップです。本プロジェクトでは、同社が運営するカーボンクレジット制度「EARTHSTORY」を活用し、遮熱塗料の新たな評価方法論を開発します。この方法論では、以下の要素を組み合わせる予定です。
- - JIS規格で認められた遮熱塗料の利用
- - IoT技術を用いた空調エネルギーの客観的計測
- - 東京大学などの学識経験者との協力
- - Linkholaの算定方法論とWebプラットフォームの利用
企業へのメリットも多く、具体的には、電力使用量やCO2排出量の削減、クレジット販売による収益化、サステナビリティ報告書の充実などが期待されます。また、EARTHSTORYによるクレジット管理は迅速で、申請から最短3ヵ月での発行が可能です。
今後の展望
このプロジェクトは日本国内だけでなく、ASEAN諸国やインド、中東地域に展開を考えています。これらの地域は高温の気候で、低い省エネ技術水準にあるため、遮熱塗料の導入によって2倍の省エネ効果が見込まれます。
今後は、遮熱塗料を実装する企業や工場を募集し、実証プロジェクトを進めながら、幅広く取り組みを進めていく予定です。Linkholaとフジサワは、双方の強みを生かして業界のリーディングプレイヤーとして、このプロジェクトを成功させるための努力を続けています。カーボンニュートラルの実現に向け、社会全体の脱炭素化に貢献する道筋をこのプロジェクトが切り開くことでしょう。