自尊感情を育む
2025-05-31 17:48:29

児童養護施設の子どもたちが自尊感情を高める「ことばキャンプ」の成果

児童養護施設の子どもたちが自尊感情を高める「ことばキャンプ」の成果



近年、虐待を受けた子どもたちが入所する児童養護施設が増加しています。子どもたちが自分の気持ちや感情を的確に伝えることができず、自己肯定感が低いことが問題視されています。そこで、特定非営利活動法人JAMネットワークは、コミュニケーション能力の向上を目的とした「ことばキャンプ」を全国の児童養護施設で実施しています。この度、同プログラムの効果に関する研究が発表されました。

研究の背景と目的



研究において、児童養護施設に入所する子どもたちの66%が虐待を受けた背景を持ち、言葉で自分の感情を表現できないケースが多いことが明らかにされています。JAMネットワークは、2008年から全国の約160の児童養護施設で「ことばキャンプ」を通じて、子どもたちの自己肯定感とコミュニケーション能力の向上を目指してきました。この研究は、「子どもたちが職員と共に前向きな考えを持てるようになった」「コミュニケーション技術が身についた」「自信を持って話せるようになった」といった現場からの声を、学術的に確認することを目的としています。

研究方法と結果



本研究では、東京都、神奈川県、千葉県の19の施設に通う小学生127名を対象に、コミュニケーション能力を向上させるための「ことばキャンプ」を実施しました。キャンプの効果を測定するため、小児用QOL尺度(Kid-KINDL(R))を用いて、プログラム前後の自尊感情や生活の質の変化を比較しました。その結果、キャンプ終了後にQOL総得点や自尊感情の得点が有意に向上し、友人や家族に対する感情も改善した一方で、学校生活に対する評価が低下した例も見つかりました。

コミュニケーションと自尊感情の関係



古荘純一医師によると、この研究は、コミュニケーションスキルを向上させることで自尊感情が高まり、子どもたちの生活の質が向上することを示しています。さらに、髙取しづか氏のコメントでは、『ことばキャンプ』がより多くの児童養護施設で実施されることへの期待が寄せられています。高い自尊感情を抱く子どもたちもいますが、彼らが自己を客観視することで自尊感情が低下するケースもあると考察されています。

「ことばキャンプ」とは



「ことばキャンプ」は2時間のセッションを6回行う、楽しみながらソーシャルスキルを学ぶプログラムです。このプログラムでは、主体的な表現を促し、子どもたちがコミュニケーション技術を身につけることを目指します。講師陣は心理的に安全な環境を確保し、子どもたちが安心して発言できる場を提供しています。また、子どもたちに肯定的なメッセージをかけることで、自己肯定感の向上も図ります。

研究の意義と展望



この研究結果は、児童養護施設における子どもたちの自尊感情の向上とコミュニケーション能力の育成が密接に関連していることを示しています。多くの子どもたちが自己の気持ちを表現できることで、より豊かな人間関係を築く力を持つことが期待されます。今後も多くの子どもたちが自分の感情を言葉で伝えられるよう、JAMネットワークは活動を続けていくことに意義を見出しています。

論文情報



この研究は青山学院大学教育学会紀要に掲載されています。詳細は以下のリンクから確認できます。
1. 青山学院大学図書館Webサイト
2. CiNii Research

JAMネットワークとは



JAMネットワークは2003年に設立され、コミュニケーション能力の育成を通じて子どもたちの未来を支えることを目的としています。現在までに全国の約160施設で活動を行い、1100人の子どもたちと3600人の職員へ「ことばキャンプ」を届けてきました。今後も全国すべての児童養護施設でこのプログラムが広がることを目指して、さらなる活動を展開していきます。

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特定非営利活動法人JAMネットワーク
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会社名
特定非営利活動法人JAMネットワーク
住所
神奈川県横浜市中区海岸通4-21倉田ビル702
電話番号
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