愛馬を守る伝統祭り「チャグチャグ馬コ」の継承プロジェクト
岩手県滝沢市では、ふるさと納税制度を活用した新たな取り組みとして、愛馬の無病息災を願う伝統的な祭り「チャグチャグ馬コ」の継承を目的としたプロジェクトが始まりました。このプロジェクトは、全国的にも珍しい「ガバメントクラウドファンディング®」によって実現され、寄付を通じて地域の生活文化を守り育てる試みが注目されています。
チャグチャグ馬コとは?
「チャグチャグ馬コ」とは、毎年6月の第2土曜日に行われる祭りで、鮮やかな装束を着た農用馬が、子どもを乗せて約14キロメートルを行進します。この行進は約5時間かけて行われ、滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡八幡宮へと続きます。この祭りは1978年に文化庁から無形民俗文化財に選ばれ、日本の特異な文化として位置づけられています。
チャグチャグ馬コの名称の由来は、馬が装束につける700個以上の鈴の音にあり、「チャグチャグ」という音色が響き渡る様子が印象的です。この鈴の音は1996年に環境庁に選ばれた「残したい日本の音風景100選」にも選出され、文化的価値が高いとも評価されています。
祭りの現状と課題
ところが、近年ではチャグチャグ馬コに参加する装束馬の数が減少しており、1990年には102頭が参加していたのに対し、現在では60頭程まで減少しています。これは、地域における農用馬の飼育頭数の減少が影響を与えています。多くの馬主がチャグチャグ馬コの継続のために外部から馬を借り入れており、持続的な文化の継承が困難な状況です。
このプロジェクトを通じて、地域の皆様にチャグチャグ馬コの現状と課題、そして馬主の思いを伝え、支援を集めたいと考えています。
寄付金の使用用途
寄付金は、チャグチャグ馬コの実施や装束馬の派遣、さらには市有馬の維持、仔馬の無償譲渡などに使用されます。特に、滝沢市ではメスの農用馬を所有し、その繁殖と育成を行い、産まれた仔馬を無償で出馬者に譲渡する努力をしています。農用馬の維持管理には高額な費用がかかり、寄付によってこれらの負担を軽減することが目指されています。
滝沢市長のメッセージ
滝沢市の市長武田哲は、チャグチャグ馬コは農用馬とともに暮らしてきた愛馬精神の結晶であり、全国に誇れる文化であると述べています。しかし、現在この文化の継承は危機的状況にあり、このプロジェクトを通じて地域の皆様に伝統を知ってもらい、支援をお願いしたいと強調しました。また、寄付者には本祭りの行進に参加できる権利も用意されており、特別な体験となります。
まとめ
この「チャグチャグ馬コ」の継承プロジェクトは、伝統文化を守るだけでなく、地域住民と観光客との交流を生む貴重な機会でもあります。ガバメントクラウドファンディングを通じた寄付は、地域に対する関心と愛情を高め、持続可能な地域の未来を築いていくための重要な一歩です。皆様のご支援をぜひお願いいたします。