映画館市場の現状
2025-09-01 10:21:46

2024年度の映画館市場は2785億円、4年ぶりの縮小が示す課題とは

映画館市場の現状



2024年度の国内映画館市場が2775億円と、前年から3.3%減少し、4年ぶりの縮小を迎えました。コロナ禍の影響が薄れてきた中で、メガヒット作の不足や洋画の減少、さらには動画配信サービスの台頭が業界に影響を与えています。具体的には、2020年度の1785億円からの回復が期待されたものの、再び厳しい現状となっています。

映画館業界の厳しい数字



帝国データバンクの調査によると、2024年度の映画館業績に目を向けると、売上高が前年並みだった企業は46.1%に達しましたが、増収に成功した企業は26.5%と、昨年度から大幅に減少しました。この減少は、特にコロナ禍以前の正常な状態からの復帰が追いついていないことを示唆しています。

2024年度には、邦画がいくつかの話題作を世に送り出しました。アニメ映画では『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』や『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が注目され、実写では『ゴジラ-1.0』や『キングダム 大将軍の帰還』が観客を引きつけました。しかし、例年のような興行収入400億円を超えるメガヒット作は少ないのが現状です。

配給本数の減少がもたらす影響



特にハリウッド映画においては、脚本家や俳優のストライキが影響をし、配給本数が減少したことが集客に直接的な影響を及ぼしました。このような事情もあり、映画館は入場者数を大きく牽引できていません。さらに、普及が進むNetflixやHuluなどの動画配信サービスは、従来の映画館での鑑賞体験を観客が求める場から遠ざけてしまっています。

コスト増加と経営の苦境



損益の面でも明暗が分かれています。「増益」の企業は34.5%にとどまり、赤字を抱える企業は44.8%に達し、その割合は4年ぶりに拡大しました。深夜まで営業している映画館では、スタッフの確保が難しくなり、賃金の引き上げが行われるケースが増加しています。また、電気代の高騰やフードサービスの仕入れ価格上昇により、運営コストも増加しています。

これらの影響を受けて、多くの劇場がチケット代やフードメニューの値上げ、さまざまなエンターテイメント施設の設置など、映画以外の収益源を模索せざるを得ない状況にあります。これらの取り組みも、全般的には「減収減益」の流れを脱するには至っていないのが実情です。

2025年度の展望



2025年度に目を向けると、邦画は夏休みに公開された『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』や『国宝』など、興行収入100億円を超えるメガヒットが期待されています。これにより映画館の客足が徐々に戻りつつあるものの、ハリウッド映画の復調には時間がかかると予測されています。

映画館の市場は、2024年度から微増の2800億円前後に回復すると見込まれています。しかし、依然として動画配信サービスとの競争や洋画の依存度の高さといった構造的な課題は解消されておらず、今後も試練の時期が続くことが予想されます。

結論



国内映画館市場は厳しい現実と向き合わせているものの、期待されるメガヒット映画や新たな体験の創出がどのように影響を与えるのか、今後の展開が重要です。映画館の存続と成長を維持するためには、従来の枠にとらわれない新たなビジネス戦略が欠かせないでしょう。


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