日本版O-NETとは
2020-02-18 11:01:42
労働市場の見える化を目指す日本版O-NETがもたらす新たなキャリア選択の可能性
日本版O-NETの概要
労働市場の「見える化」を目的とした職業情報提供サイト、通称「日本版O-NET」が間もなくスタートします。このプラットフォームでは、約500種類の職業に関する詳細な解説や、必要な知識、スキルなどの数値データを網羅しています。特に動画コンテンツを活用した情報提供が特徴であり、今までの職業選択の支援に大きな変革をもたらすことでしょう。
日本版O-NETの開設により、求職者は自らに最も適した職業を見つけ出す手助けを受けることができます。また、企業は必要とする人材をより正確に把握し、適切な戦略で採用活動を展開できるようになります。さらに、キャリアコンサルタントたちは、個々の利用者に対して的確で効果的な支援を行う基盤となることが期待されています。
労働市場の現状・課題
大藪毅慶應義塾大学の専任講師は、日本の労働市場の複雑さを指摘しています。日本では企業内部での人材の配置や教育訓練、報酬などが、主に会社のルールに従って決定される内部労働市場が主流です。しかしこの慣行は、長期的には労働生産性の低下を招き、特にグローバル経済の変化に対応しにくくなっています。さらに、平成以降の経済低迷もあいまって、企業の賃金は先進国の中でも低水準にとどまっています。
また、近年の若者たちのベンチャー企業への関心が高まる中、大手企業での就業が以前ほど魅力的でなくなっていることも、労働市場の混乱に拍車をかけています。これにより、企業は自社の枠組みだけでなく、外部との連携をも強化し、持続可能な経営を考える必要があるのです。
外部労働市場の重要性
労働市場とは、労働の需給を調整し、人材と企業を結びつけるプロセスでもありますが、日本の市場は外部労働市場機能が弱く、現在は構造的な「低位均衡」状態に陥っています。この状況を打破するためには信頼できる外部労働市場の構築が求められます。人材の配分と報酬の適正化によって、企業内部での人材のより一層の有効活用が促進され、生産性の向上にもつながるからです。
特に、アメリカではDOTやO*NETといった職業情報の提供が行われ、労働市場が健全に機能しています。これらのデータベースは、さまざまな職業に関する具体的な情報を統一した尺度で提供しており、個々の求職者や企業にとっての重要な資源です。
日本版O-NETの意義
日本版O-NETは、このような米国の成功モデルを参考にしており、労働市場の見える化を目指すものです。具体的には、仕事の内容や求められる能力を明示化し、リアルタイムで労働市場の動向を把握できる信頼性の高い情報を提供します。この取り組みは、求人・求職におけるミスマッチを防ぎ、労働力の社会的ロスを軽減することが期待されます。
また、個人のキャリア形成においても、自己学習の重要性が高まります。さらに企業にとっても人材マネジメントの振り返りと改善が求められる中、今このタイミングが、企業内部の最適化から社会全体の最適化へと向かう大きなチャンスと言えるでしょう。
まとめ
新しく導入される日本版O-NETは、労働市場の「見える化」を通じて、さまざまな場面での課題解決に寄与することが期待されています。大藪強い指導のもと、職業情報が幅広く利用されることによって日本の労働市場が健全化し、個々のキャリアにおいても大きな可能性を拓くことができるでしょう。これにより、日本の経済全体の活性化にもつながることが期待されています。
会社情報
- 会社名
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厚生労働省職業安定局総務課首席職業指導官室
- 住所
- 東京都千代田区霞が関1-2-2
- 電話番号
-
03-5253-1111