アメリカ先住民の起源
2025-11-13 14:10:11
アメリカ先住民の起源を探る新仮説:PSHK半島がその鍵か
アメリカ先住民の起源に迫る新たな研究
現在の北アメリカ大陸には、13,500年ほど前の現生人類遺跡が存在します。それに関する最近の研究で、彼らの出自についての興味深い仮説が浮上しました。東京都立大学や東北大学、海外の複数の大学、研究グループが連携し、北アメリカの持つ最初期の人類技術について考察した結果、「アメリカ上部旧石器時代(AUP)」という新たな概念が提唱されました。
これまでプレ・クロヴィス文化についての研究は限られたものでしたが、このグループの調査によれば、北アメリカ大陸の複数の遺跡から出土した石器には共通する技術要素があることが確認されたのです。
新たな石器技術の発見
約13,500年前にさかのぼるプレ・クロヴィス遺跡での発見から、石器技術と素材に明確な共通性があることが見出されました。また、従来の考古学において明らかにされていなかった、剥片・石刃技術および両面加工技術を併用した狩猟具が製作されていたことも判明しました。これらの技術は、古サハリン・北海道・千島(PSHK)半島の古代技術と多くの点で類似しており、研究チームはこの地域が初期の北アメリカ人類の祖先集団の形成に寄与した可能性を示唆しました。
古サハリン北海道千島半島の重要性
古サハリン・北海道・千島半島は、最初のアメリカ人が形成された重要な候補地と考えられています。この地域からは、AUPと呼ばれる石器群と共通する技術が発見されており、特に剥片・石刃や両面加工の技術は、アメリカ大陸の人類拡散に大きく寄与していると推測されます。実際、これらの技術は、北東アジアにおける現生人類の拡散を示す重要な手がかりとなるでしょう。
研究の背景
古代の人類集団は約25,000年前に北東アジアで形成され、その後、約20,000年前以降に北アメリカ大陸へ拡散したとされています。しかし、どこで孤立したかは未特定のため、考古学的な証拠が不可欠です。これまで有力とされていたベリンジア滞留説は、実際には過去の人骨や考古学的証拠に乏しく、その妥当性に疑問が持たれていました。
進化する仮説
この新しい研究をもとに、北アメリカへの最初の現生人類拡散を考える新たなモデルが構築されつつあります。現生人類は、約18,000年から13,500年前の間に北アメリカに広がったと考えられており、この拡散には数千年が必要だと推測されています。これにより、以前の孤立のモデルが再定義され、PSHK半島がその出発点であったのかもしれません。
未来への展望
本研究の成果は、古代の人類の移動に関する重要な理解を提供するものであり、今後の研究においてもPSHK滞留説が最も信頼できる仮説として検討されるでしょう。この新たな視点が、アメリカ先住民の起源についての解明に向けた一歩となることを期待しています。2025年には、Science Advances誌にてその詳細な報告がなされる予定です。
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