日本酒が切り開く新たな健康の可能性
2025年8月8日、東京都港区で、リジェネソーム株式会社がシンポジウム「日本酒×ロンジェビティの可能性」を開催しました。このイベントは、親会社であるスペースシードホールディングスが推進する「Fermentation and Longevity Fund」の一環として、発酵技術と長寿に関する研究や実用化の橋渡しを目的としています。
発酵と長寿の科学的な背景
近年、日本の平均寿命と健康寿命の差が広がっており、加齢に伴う生活の質(QOL)の低下や医療費の増加が大きな社会問題となっています。加齢による酸化ストレスや細胞老化は、私たちの健康に深刻な影響を与える要因です。そこで、本シンポジウムでは日本酒を基盤にした研究が展開され、長寿に向けた新たなアプローチが提案されました。
日本酒は、米、麹、酵母の相互作用によって多くの代謝物(アミノ酸、ペプチド、有機酸など)を生成します。これらの成分は、人体の酸化還元反応や細胞間のコミュニケーション、代謝応答に影響を与える可能性があることが示されています。このような作用は、エイジングケアやリバースエイジングに対して非常に期待されています。
トークハイライト
シンポジウムでは、研究と技術についてのさまざまな発表が行われました。特に注目を集めたのは、エクソソームを応用した技術です。これにより、人由来のエクソソームを正確に選別し、高精度での情報取得が可能になるとのことです。また、既存医療機器との統合の可能性も提案され、医療現場への応用が期待されています。
次に、α-エチル-D-グルコシド (α-EG) に関する講演が行われ、独自の醸造プロセスによってα-EGを生成し、その機能性と風味の調和を実現する取り組みが紹介されました。
さらに、日本酒に含まれる成分を利用したナノ粒子「SAKESOME」の抗老化ポテンシャルについても言及され、宇宙環境における老化機序の介入仮説が提唱されました。
リジェネソームの細胞レベルでのエイジングケア商品「SAISEIリジェネソームサプリメント」も紹介され、ユーグレナや酒粕などを使った研究が沖縄の長寿文化に基づいて行われていることが報告されました。
登壇者とプログラム
シンポジウムには、さまざまな著名な講演者が参加しました。提供されたウェルカムドリンクの後、津南醸造のブースでは日本酒の試飲が行われ、そして以下のような講演が実施されました。
- - ワタナベイナリ氏(SSIサケ・アカデミー講師):「日本酒とは何か」
- - 鈴木健吾(リジェネソーム社CEO):「日本酒のエイジングケアに寄与する可能性」
- - 津南醸造株式会社:「日本酒アップサイクル・プロジェクトの紹介」
結論
リジェネソームが主催するこのシンポジウムは、日本酒と長寿との関連性を深く掘り下げる重要な機会となりました。発酵技術の革新が私たちの健康と生活にどのように寄与するか、今後も注目が集まります。リジェネソームとスペースシードホールディングスが目指す未来に期待が高まります。