地域課題に向き合うレジスタの地元ブランディングの取り組み
2025年6月30日、名古屋市中区に本社を構える株式会社レジスタの代表取締役、千賀信義氏が「サスティーンナゴヤ」ネットワーキングセミナーに登壇しました。このセミナーは、地域の中小企業に対してサステナブル経営を支援することを目的としています。
サスティーンナゴヤとは
「サスティーンナゴヤ」は、名古屋市内やその周辺の企業を対象にデザインを活用し、持続可能な企業経営を実現することを目指すプログラムです。このネットワーキングセミナーは、そのプログラムの一環として開催され、全3回のシリーズの1回目でした。テーマは「地元ブランディング」で、地域に根ざした企業が自身の取り組みを共有するという形式がとられました。
千賀氏は、地域の課題にどのように向き合い、経営の中でそれをどう反映させているかについて、自社の経験を生かして語りました。地域の士気を高めるためにどのような活動を行っているのかが焦点となったのです。
地域と経営課題を重ねる実践
千賀氏は、自らの起業から現在に至る経過を通じて、地域の課題が企業の経営課題として重層的に存在することを強調しました。特に、甚目寺観音てづくり朝市でのボランティア経験が、地域の可能性を見出す重要なきっかけとなったと述べています。この朝市を通じて、地域内での活性化と新たな取組みが芽生えました。
さらに、彼は「東別院てづくり朝市」から生まれた「たちばな大木戸ひなた市」の設立経緯について詳しく説明しました。この取り組みは、地域の住民自らが運営する朝市として、多くの支持を得るようになりました。
地域の価値創出
活動の中で千賀氏は、コミュニティとの連携や地域資源の有効利用についても言及しました。特に、地域の課題と向き合う中で見えてきた「NAGOYA ANTIQUE MARKET」の立ち上げは、その一例です。初めは運営資金の調達に苦労しましたが、地域の文化や資源を活かして、事業として価値を生む方向へとシフトしました。
レジスタは、ここで「ローカルゼブラ企業」という新たな概念を確立しました。これは、地域に根ざしながら社会的課題に取り組む企業の形です。「ローカルゼブラ企業」は急成長を目指すユニコーン企業とは異なり、持続可能性や社会的価値の創出を重視しています。これにより、無理なく地域内での価値を生み出し続けることができるのです。
経営資源としての地域との結びつき
千賀氏は、こうした取り組みを通じて得られた知見や経験が自社の経営資源にどのように影響を与えたかについても語りました。地域資源の活用を通じて、次第に人や情報、価値が集まり、それが企業の成長に繋がっていくことを強調しました。
地域の課題を「衰退の対象」ではなく、ポジティブな「未来の可能性」として捉える姿勢が、地域と企業の相乗効果を生む要素となっているのです。
クロストークセッションと地域課題の解決
セミナーの後半では、千賀氏が2025年度のサスティーンナゴヤの採択企業について、それぞれの現場に寄り添ったフィードバックを行いました。ここで特に示されたのは、地域課題に取り組む若者の力に注目するという新たなアプローチです。
会社の取り組みの一環として、NAGOYA ANTIQUE MARKETでは約100名のボランティアと共に活動を展開していますが、金銭的な報酬だけではなく、他者との協働から得られる“価値報酬”の概念を浸透させています。この結果、やりがいや誇りを持つ関係性が築かれています。
また、地域課題をテーマにした起業家育成プログラム「Co-Do:TECH」を通じて、若者のエネルギーや創造性と地域の本当の課題を掛け合わせた実践例についても触れました。
今後も株式会社レジスタは、地域の資源と若者の可能性を繋ぎながら、持続可能な共創企業としての道を歩み続けます。この姿勢こそが、地域に根ざした企業としてのブランディングの在り方を表しています。