生活者のリサーチ体験に見る二極化と共創の重要性を探る
株式会社10が運営する消費者オンラインコミュニティ「torio café」のメンバー289人を対象とした意識調査が発表され、アンケートに対する生活者の捉え方が二極化していることが明らかになりました。この調査結果は、現在のリサーチ業界が抱える課題や、将来的な持続可能なリサーチ体験を考える上での貴重なインサイトを提供しています。
調査の背景
近年、インターネットを用いた調査が主流となる中で、リサーチ業界は「回答品質の低下」「協力率の低迷」「モニターの疲弊」といった深刻な課題に直面しています。これらの問題を解決するため、多くの企業が調査票の短縮や不正検知といった対策を講じていますが、参加者が「参加したくなる体験」をどのようにデザインするかという視点はあまり議論されていないのが実情です。
この調査は、そうした問題意識からスタートしました。生活者が参加したくなるリサーチ体験の条件を探ることで、もたらされる影響について考察を深めることが目的です。
調査結果の要約
1.
協力者は長期的なモニターが大半
一般的なアンケートに参加するモニターの大部分は過去に長期間活動している人たちで、新規の参加者はわずか4%にとどまります。これは「モニター枯渇問題」を如実に示しています。
2.
アンケートへの意識は「労働」的である
参加者の動機の多くは「ポイ活」によるもので、実利的な観点が強いことがわかりました。一方で「企業とのコミュニケーション」に対する意識は低めです。
3.
参加体験は好悪に分かれている
最近の印象として、ポイ活を意識する層は体験が「悪化した」と感じる一方、企業とのコミュニケーションを意識する層は体験が「向上した」と答えています。
4.
体験の質を左右する心理的要因
調査を通じて、体験の向上には報酬以上に「実感」「共感」「貢献」といった心理的要因が影響していることが判明しました。自分の意見が実際に反映されているという誇りや、企業の熱意を感じ取った際に高まる参加動機が見受けられました。
5.
リサーチ業界の構造的課題
「コスパの悪化」「回答者への配慮の不足」「理不尽な仕様」などが指摘されており、生活者が疲弊している現実があることも浮き彫りになりました。
持続可能なリサーチ体験への道
調査結果から、リサーチの持続可能性は単に「回答負荷を減らすこと」や「不正を排除すること」では足りないことが示されています。重要なのは、生活者が「社会参画」や「価値共創」を実感できる体験を設計することです。それによって、高品質のデータ収集と長期的な協力関係が築けると考えられます。
10 Inc.では、今後も生活者のインサイトを深く捉える調査を通じて、価値創出につながる知見を提供し続ける方針です。
調査概要
- - 調査主体:10 Inc.(自主調査)
- - 調査手法:オンラインコミュニティ調査(MROC)
- - 調査対象:全国の20〜69歳の男女289名
- - 調査期間:2026年1月7日〜1月13日
今回の調査結果を基に、リサーチ市場における参加者の意識と行動についてさらなる深掘りが進むことが期待されます。生活者の声を尊重し、共創を実現するリサーチ体験のデザインが求められています。