震災伝承の危機
2024-06-25 13:11:45

震災伝承活動の危機:東北の現状と課題~資金不足と人材不足が深刻化~

東日本大震災の教訓、継承の危機:資金不足と人材不足が深刻化



2023年、東日本大震災から12年が経ちました。被災地の記憶を風化させないための伝承活動は、次世代への重要な役割を担っていますが、その継続性が危ぶまれています。公益社団法人3.11メモリアルネットワークが行った最新の調査では、岩手、宮城、福島の3県で震災伝承活動に取り組む26団体と25組織に対し、資金、人材、活動継続に関する課題が浮き彫りになりました。

調査結果によると、91%の団体が活動継続に対する不安を抱え、61%が公的な資金支援が「不十分」と回答しました。特に、30年後を見据えた活動継続への見通しは、伝承団体では「全くない」「わからない」のみという厳しい状況です。一方、伝承施設では、ある程度の見込みを持つ回答が見られました。

資金面では、5年間の支援があれば、伝承団体、施設ともに収益性・持続性が高まるとの予測も示されました。これは、伝承活動が単なるイベントや施設運営ではなく、長期的な視点と継続的な支援が必要であることを示しています。

人材面では、伝承団体は「語り部」、伝承施設は「行政職員」が活動継続に最も重要な人材とされました。語り部は施設においても重要な役割を果たしていますが、「伝承施設スタッフ」「事務スタッフ」「民間企業関係者」については、団体と施設の立場によって意見が分かれる結果となりました。

さらに、震災伝承の成果指標として、「来訪者数」「震災の教訓への理解促進」「自らの命を守り抜くための主体的に行動する態度」が上位に挙げられました。しかし、「安全安心な社会づくりに貢献する意識」については、団体と施設で回答傾向に差異が見られた点が注目されます。

課題克服に向けた提言:連携と制度改革が求められる



調査では、伝承団体、施設ともに、公的な資金支援の拡充を強く望んでいます。発災15年後の「第2期復興・創生期間」以降も、伝承活動を継続していくためには、現状の資金不足を解消し、安定的な支援体制を構築することが急務です。

さらに、課題克服のためには、県域や立場を超えた連携体制の構築が不可欠です。調査では、伝承団体と施設の双方から、「被災県単位での制度の新設」や「連携させる存在」の必要性が指摘されました。

震災の教訓を風化させず、次世代に継承していくためには、資金、人材、体制の3つの面から抜本的な改革が必要です。政府や自治体、民間企業、そして国民一人ひとりが、伝承活動の重要性を認識し、積極的に支援していくことが求められます。

東北の震災伝承活動、未来への希望を繋ぐために



今回の調査結果から、東日本大震災の伝承活動が抱える深刻な状況が改めて浮き彫りになりました。特に、資金不足と人材不足は、活動を継続していく上で大きな課題となっています。

しかし、一方で、伝承活動の重要性を認識し、未来への希望を繋ぐための取り組みも進められています。調査では、多くの団体と施設が、新たな制度の構築や連携体制の強化を強く望んでいます。

震災の教訓を次世代に継承していくことは、私たち全員の責任です。政府や自治体による公的な支援はもちろんのこと、民間企業や個人のボランティア活動も必要不可欠です。

今回の調査結果を機に、社会全体で震災伝承活動への関心を高め、共に未来へ向かうための取り組みを強化していくことが重要だと感じます。

語り部や関係者の努力、そして被災地の復興を支える人々の思いを忘れずに、未来を創造していくために、私たち一人ひとりができることを考え、行動していくことが大切です。

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