顧みられない熱帯病とその重要性
2024年6月、京都で開催される第123回日本皮膚科学会総会において、特定非営利活動法人クローバーヘルス・インターナショナルが「顧みられない熱帯病(NTDs)」に関する活動を発表します。NTDsは、世界中で約16億人が感染リスクに直面している深刻な疾患群です。
NTDsとは何か?
NTDsとは、WHOが人類が制圧すべき疾病として分類している21の疾患です。これらは主に熱帯および亜熱帯地域で発生し、貧困や衛生環境の悪化が引き金となっています。実際、多くは予防や治療が可能ですが、適切な医療が届かないために重度の障害や生活の質(QOL)の低下を招いています。
NTDsが顧みられない理由
NTDsが注目されにくい理由の一つは、これらの疾患が直接的な死因に至ることが少ないためです。先進国では見られないことから、重大な疾患とは捉えられず、国際機関や医薬業界の関心を引きにくいのです。しかし、症状の重篤さや患者に与える精神的苦痛を考慮すると、無視できない病気です。
患者と地域社会への影響
NTDsの多くは皮膚に影響を与え、そのため患者は周囲からの差別や偏見にさらされます。この影響は病気自体に加え、精神的な問題を引き起こし、患者の社会生活を一層難しくしています。また、感染した地域の経済にも暗い影を落としており、労働力が低下することで貧困が拡大する負のスパイラルが生じています。
クローバーヘルス・インターナショナルの活動
クローバーヘルス・インターナショナルは、開発途上国における医療の提供を目指し、テクノロジーとエビデンスに基づく医療の実現に努めています。理事の四津里英は、NTDsの現状として「未発見な疾患や伝統医療に頼ることが問題の一因」と指摘し、早期発見と治療の重要性を訴えています。また、グローバル化や温暖化が進む現代において、先進国も決してNTDsに無縁ではないと警鐘を鳴らしています。
日本における現状
日本でも2014年から2017年の間に数量は340件と、少なくないNTDsの例が報告されています。四津理事は、日本の医療関係者に向けて、NTDsについてさらに詳しい情報を理解する重要性を訴えかけています。これにより、今後の対策や予防に繋げることが求められます。
第123回日本皮膚科学会総会の情報
- - 会期: 2024年6月6日(木)〜6月9日(日)
- - テーマ: 皮膚のふしぎ
- - 会場: 国立京都国際会館(京都市左京区)
- - 詳細: 日本皮膚科学会総会の公式サイト
医療関係者以外にも、クローバーヘルス・インターナショナルのウェブサイトにて、後日展示ポスターを公開予定です。NTDsに関心がある方は、ぜひチェックしてみてください。
クローバーヘルス・インターナショナルのまとめ
この組織は、医療の供給が行き渡っていない地域における支援や研究を通じて、NTDs撲滅に向けた取り組みを続けています。大切なのは「できない」と思うのではなく、なぜできないのかを理解し、実現に向けた方法を見つけることです。